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ジャッジも「僅差の三冠王」となるのか。打率.314は1位だが、続く2人は.313。前の三冠王は4厘差

宇根夏樹ベースボール・ライター
アーロン・ジャッジ(ニューヨーク・ヤンキース)Sep 26, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 9月26日を終え、アーロン・ジャッジ(ニューヨーク・ヤンキース)は、打率、本塁打、打点のいずれも、ア・リーグのトップに位置している。

 打率のトップ3は、打率.314のジャッジ、打率.313のルイス・アライズ(ミネソタ・ツインズ)、打率.313のザンダー・ボガーツ(ボストン・レッドソックス)だ。一方、ジャッジの60本塁打は、2位タイのヨーダン・アルバレス(ヒューストン・アストロズ)とマイク・トラウト(ロサンゼルス・エンジェルス)より23本も多い。打点のトップ3には、128打点のジャッジ、117打点のホゼ・ラミレス(クリーブランド・ガーディアンズ)、104打点のカイル・タッカー(アストロズ)が並ぶ。

 打点が公式記録となった1920年以降の三冠王と、彼らに次ぐ2位との差は、以下のとおり。各スタッツの数値は、ベースボール・リファレンスに従った。1937年のジョー・メドウィックと1967年のカール・ヤストレムスキは、本塁打が1位タイなので、その差は0だ。メドウィックはメル・オット、ヤズはハーモン・キルブルーと本塁打王を分け合った。僅差の定義はさまざまだが、このリストでは、差が1分未満(打率)、5本未満(本塁打)、一桁(打点)のスタッツを、薄いオレンジ色にしている。

筆者作成
筆者作成

 延べ12人の三冠王のうち、打率が2位と5厘差未満だったのは、2012年のミゲル・カブレラ(デトロイト・タイガース)だけだ。1919年以前の三冠王を含めても、2位と3厘差未満の首位打者はいない。今シーズンのジャッジは、最も僅差で首位打者を獲得した三冠王、となるかもしれない。

 10年前のア・リーグで打率.326を記録し、カブレラに次ぐ打率2位に位置したのは、マイク・トラウト(ロサンゼルス・エンジェルス)だ。当時のトラウトは、メジャーリーグ2年目のルーキーだった。

 8月を終えたところでは、打率.335のトラウトがトップに立っていて、打率.329のカブレラは2位に位置していた。だが、9月以降(9月1日~10月3日)の打率は、トラウトが.290、カブレラは.333。9月5日にカブレラがトラウトを上回り、8日にトラウトが抜き返したものの、16日にカブレラがトラウトを再び追い抜く。そこからは、カブレラが最後までトップに立ち続けた。一方、トラウトの順位は、2位→3位→2位と推移した。

 なお、カブレラは、三冠のうち、本塁打も僅差。打点の差も、そう大きくなかった。8月31日の時点では、3部門ともトップではなく、本塁打は5本差の5位タイ、打点は3打点差の2位にいた。9月以降の31試合で、11本塁打と30打点を記録した。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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