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トレードから7週間後、ようやく新天地デビューへ。交換相手はエース級の働き

宇根夏樹ベースボール・ライター
ハリソン・ベイダー Jun 7, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 先発投手のジョーダン・モンゴメリーと外野手のハリソン・ベイダーは、トレード・デッドラインの8月2日に、チームを入れ替わった。1対1のトレードにより、モンゴメリーは、ニューヨーク・ヤンキースからセントルイス・カーディナルスへ。ベイダーは、カーディナルスからヤンキースへ移籍した。

 その後、モンゴメリーは9試合に登板し、防御率2.35を記録している。「トレードで放出した投手に、ヤンキースが封じられる。交換に獲得した外野手は欠場」で書いたとおり、カーディナルス・デビューの試合は、数日前まで在籍していたヤンキースを相手に好投した。

 一方、ベイダーは、ヤンキース・デビューを果たしていない。移籍の時点で右足の裏を痛めていて、ヤンキースもそれを承知で獲得したとはいえ、回復は当初の見込みより遅れている。AAでリハビリ出場を始めたのは、9月11日だ。

 ニューヨーク・デイリー・ニューズのクリスティ・アッカートらによると、ベイダーは6試合のリハビリ出場を終え、9月20日の試合で「復帰」するらしい。アーロン・ブーン監督が、断定はできないものの、その方向で進んでいる、と語ったという。トレードから数え、7週間後のヤンキース・デビューとなる。

 ベイダーの守備は、エリート・クラスだ。センターを守り、これまでセンターを守っていたアーロン・ジャッジは、ライトへ戻る。

 また、ベイダーは、打線にもプラスをもたらすはずだ。移籍前の72試合はOPS.673ながら、昨シーズンは103試合でOPS.785を記録している。仮に、今シーズンの移籍前と変わらなくても、マイナスにはならないだろう。

 ヤンキースの外野手のうち、ジャッジは球史に残るシーズンを過ごしているが、アーロン・ヒックスは大不振。後半戦のOPSは.485だ。7月下旬にカンザスシティ・ロイヤルズから加入したアンドルー・ベニンテンディは、右手首を痛め、今月上旬に離脱した。手術を受け、レギュラーシーズンが終わるまでに復帰できるかどうか、といったところだ。8月半ばにメジャーデビューしたオズワルド・カブレラも、打てていない。そもそも、カブレラは、外野手というよりも内野手だ。昇格後はライトを守ることが多いものの、マイナーリーグでは、ほとんどが一塁以外の内野だった。

 なお、ベイダーがヤンキー・スタジアムでプレーするのは初めてだが、彼が生まれ育ったのはニューヨークだ。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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