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トレード・デッドライン後の「補強」。他球団に解雇された外野手をメジャーリーグ契約で迎え入れる

宇根夏樹ベースボール・ライター
ジャッキー・ブラッドリーJr. Apr 22, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 8月9日、トロント・ブルージェイズは、ジャッキー・ブラッドリーJr.とメジャーリーグ契約を交わしたことを発表した。

 数日前まで、ブラッドリーJr.は、ブルージェイズと同じア・リーグ東地区の、ボストン・レッドソックスにいた。レッドソックスは、8月1日にシンシナティ・レッズからトミー・ファムを獲得し、4日にブラッドリーJr.を解雇した。彼らは、どちらも外野手だ。

 一方、ブルージェイズでは、ジョージ・スプリンガーが6日に故障者リスト入りした。ただ、スプリンガーが離脱しても、外野手は足りている。左から右へ、ルルデス・グリエルJr.ウィット・メリフィールドテオスカー・ヘルナンデスの3人を基本とし、ライメル・タピアブラッドリー・ジマーも擁する。メリフィールドは、2日にカンザスシティ・ロイヤルズから移籍した。控えの2人も、センターを守る。

 ここ2シーズンとも、ブラッドリーJr.は打てていない。昨シーズンはミルウォーキー・ブルワーズでOPS.497、今シーズンはレッドソックスでOPS.578だ。計225試合に出場し、ホームランは9本しかない。

 にもかかわらず、ブルージェイズが迎え入れたのは、ブラッドリーJr.の守備が大きな理由だろう。また、ジマーのOPSは.452。打席はブラッドリーJr.の3分の1未満なので、単純には比較はできないものの、出塁率も、ブラッドリーJr.の.257に対し、ジマーは.212だ。これまでの実績も、ブラッドリーJr.はジマーを凌ぐ。

 ブルージェイズは、僅差でワイルドカード・レースのトップを走っている。少しでもプラスになればいい、と考えているように見える。

 外野手の多さも、問題にはならない。移籍前にメリフィールドが守ったのは、外野が301.0イニング、二塁が477.1イニングだった。DHのアレハンドロ・カークは捕手でもあるので、ベンチに控え捕手が不在でも、ダニー・ジャンセンとの2人体制となる。

 スプリンガーがいつ復帰するのかはわからないが、戻ってきた時は、ジマーがロースターから外されるのではないだろうか。

 なお、あくまでも過去の実績ながら、ブラッドリーJr.は、2017年のディビジョン・シリーズ4試合で5打点、2018年のリーグ・チャンピオンシップ・シリーズ5試合で9打点を挙げている。後者のシリーズでは、MVPに選ばれた。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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