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「買い手も売り手も同じトレード」が2日続けて成立する。この両チームはさらなるトレードも!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
ダニエル・ボーゲルバック Jul 8, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 7月23日、ニューヨーク・メッツとピッツバーグ・パイレーツは、トレードを成立させた。メッツは捕手のマイケル・ペレスを獲得し、パイレーツは金銭を得た。

 両チームは、前日もトレードを行っている。こちらは、DHのダニエル・ボーゲルバックがパイレーツからメッツへ移り、ルーキーのリリーフ投手、コリン・ホールダーマンがメッツからパイレーツへ移籍した。

 買い手も売り手も同じながら、ボーゲルバックとペレスをセットにしたトレードではなく、別々のトレードだったのは、タイミングが理由だ。

 メッツでは、7月22日の試合中に、捕手のトマス・ニドが左手を痛めた。ジェームズ・マッキャンは7月10日から故障者リストに入っているので、パトリック・マジーカの他に、捕手が必要になった。一方、パイレーツは、7月22日にペレスをDFAとした――40人ロースターから外した。

 メッツがパイレーツから獲得した2人のうち、ボーゲルバックは右投手用のDHだが、ペレスは一時的な穴埋めだ。結局、ニドの負傷は大事に至らず、翌日の試合でマスクをかぶっている。ペレスは、昇格しないかもしれない。

 ここからも、メッツは買い手、パイレーツは売り手として動くだろう。ただ、両チームによるトレードが、さらに成立するかどうかはわからない。例えば、パイレーツでクローザーを務めているデビッド・ベッドナーは、メッツのニーズにフィットするが、FAになるのは2026年のオフなので、獲得にはそれなりの見返りが必要になる。

 ボーゲルバックとペレスに続き、この夏、メッツがパイレーツから誰かを手に入れるとすれば、先発投手のホゼ・キンターナではないだろうか。今シーズンは、18登板で防御率3.99を記録している。

 メッツのローテーションに不足はなく、うまくいけば、来月上旬にはジェイコブ・デグロームが戻ってくる。なので、大きな見返りが要求される先発投手には、手を出さないと思われる。だが、今オフにFAとなるキンターナであれば、見返りはそう大きくなく、ロング・リリーバーとしても起用できる。ローテーションに故障者が発生した際の「保険」として、メッツが獲得しても不思議ではない。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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