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1年半以上も登板なしの投手が450万ドルで入団。ただし、実際の金額は半分以下

宇根夏樹ベースボール・ライター
トレバー・ローゼンタール Oct 1, 2020(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 7月21日、サンフランシスコ・ジャイアンツは、トレバー・ローゼンタールと年俸450万ドル+出来高の契約を交わした。

 ローゼンタールは、32歳のリリーフ投手だ。2014~15年に2シーズン続けて45セーブ以上を挙げ、短縮シーズンの2020年は、11セーブと防御率1.90を記録した。平均98マイル前後の4シームと約10マイル遅いスライダーが、投球の約90%を占める。

 ただ、マイナーリーグを含め、ローゼンタールが登板したのは、2020年のポストシーズンが最後だ。その後、肩と腰(胸郭出口症候群と関節唇損傷)の手術を受け、昨年11月にFAとなってからは、どの球団にも在籍していなかった。

 また、出来高は別として、ローゼンタールが得る金額は、450万ドルではない。シーズン全体としての年俸は450万ドルだが、契約の時点でシーズンは半分以上が過ぎており、実際の金額は約190万ドルとなる。

 ちなみに、入団と同時に、ローゼンタールは故障者リストに入ったが、これはジャイアンツとしても、織り込み済みだ。シーズン初登板は、来月の上旬以降になるだろう。

 一方、7月14日にジャイアンツから解雇されたジェイク・マギーは、22日にミルウォーキー・ブルワーズへ入団した。ジ・アスレティックのケン・ローゼンタールによると、メジャーリーグ契約だという。

 マギーは、35歳のリリーフ投手だ。今シーズンは、2年500万ドルの契約2年目。残っている金額のほとんどは、ジャイアンツが支払う。ブルワーズの支払い額は、メジャーリーグ契約の下限である年俸70万ドルの残り日数分なので、約30万ドルとなる。

 昨シーズン、マギーは、62登板で31セーブと防御率2.72を記録した。それに対して、今シーズンは、24登板で3セーブと防御率7.17だ。昨シーズンと今シーズンを比べると、奪三振率が8.75→4.64と急降下している。もっとも、4シームの平均球速はそう変わらず、両シーズンとも95マイル弱だ。ローゼンタールと違い、マギーは左腕だが、4シームとスライダーのコンビネーションという点は共通する。

 7月21日を終え、48勝44敗(勝率.522)のジャイアンツは、ワイルドカードの3番手まで1ゲーム差に位置する。50勝43敗(勝率.538)のブルワーズは、地区2位と0.5ゲーム差ながら、首位に立っている。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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