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この打線はウルトラ・ヘビー級!? 2週間に3人が「1試合3本塁打」を記録する

宇根夏樹ベースボール・ライター
マイケル・ペレス(ピッツバーグ・パイレーツ)Jun 30, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 6月30日、マイケル・ペレス(ピッツバーグ・パイレーツ)は、4回裏と6回裏に続き、8回裏にもホームランを打った。この前日には、ペレスのチームメイト、ブライアン・レイノルズも1試合3本塁打を記録している。また、こちらもチームメイトのジャック・スウィンスキーは、6月19日の試合で3本のホームランを打った。スウィンスキーの3本目はサヨナラ本塁打。それについては、「「サヨナラを含む1試合3本塁打」はそう珍しくないのか。今月はこの選手が2人目」で書いた。

 1試合3本塁打は、メジャーリーグ記録よりも1本少ない。今シーズンは、ここまでに11人が記録している。だが、パイレーツの3人を除くと、他の8人はそれぞれ違うチームの選手だ。

筆者作成
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 ナ・リーグとア・リーグの球史において、同じ月に同じチームの異なる3人が1試合3本塁打以上は、初めてのことだ。2020年9月には、アトランタ・ブレーブスの選手が3度記録しているが、1日の試合はマーセル・オズーナ、2日と9日の試合はどちらもアダム・デュボールなので、同じ月に延べ3人ではあるものの、異なる3人ではない。

 ベースボール・アルマナックによると、1シーズンに1試合3本塁打以上を記録したチームメイトの人数は、1950年のブルックリン・ドジャースと1956年のシンシナティ・レッドレッグス、この2チームの各4人が最も多い。1950年のドジャースは、デューク・スナイダーロイ・キャンパネラギル・ホッジス(1試合4本)、トミー・ブラウン。1956年のレッドレッグスは、ガス・ベルエド・ベイリーテッド・クルゼウスキボブ・サーマンが記録した。延べ人数も、4人が最多。2001年のミルウォーキー・ブルワーズが、ジェフ・ジェンキンスジェロミー・バーニッツ(2度)、リッチー・セクソンの延べ4人だ。バーニッツ(2度目)とセクソンは、同じ試合でホームランを3本ずつ打った。

 今シーズン、パイレーツは、162試合中76試合を終えたところだ。1シーズンの最多人数に並び、新記録を打ち立ててもおかしくない。

 1試合3本塁打の3人のうち、ペレスのシーズン本塁打は6本――1試合3本とそれ以外に1試合1本が3度――だが、レイノルズとスウィンスキーは、それぞれ15本と13本のホームランを打っている。2人に次ぎ、パイレーツで3番目に多い、10本塁打のダニエル・ボーゲルバックは、シアトル・マリナーズ時代の2019年に30本塁打を記録している。

 もっとも、パイレーツのチーム本塁打は、リーグ7位の84本だ。最多のブレーブスと比べると、32本も少ない。6月に限れば、パイレーツのホームランはリーグ2位の44本だが、それでも、54本のブレーブスとは10本の差がある。

 ちなみに、1950年のドジャースは194本塁打、1956年のレッドレッグスは221本塁打。どちらも、リーグで最も多かった。2001年のブルワーズはリーグ3位の209本塁打、2020年のブレーブスはリーグ2位の103本塁打だ。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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