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39歳の投手が「両リーグ10勝一番乗り」。史上最も高齢な20勝投手になるのか

宇根夏樹ベースボール・ライター
ジャスティン・バーランダー(ヒューストン・アストロズ)Jun 29, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 6月29日、ジャスティン・バーランダー(ヒューストン・アストロズ)は、ニューヨーク・メッツを相手に8イニングを投げ、ホームを踏ませなかった。9回裏は、ライアン・プレスリーが3人で終わらせ、バーランダーはシーズン10勝目を挙げた。

 今シーズン、二桁の白星を記録している投手は、まだ、バーランダー以外にいない。アレック・マノーア(トロント・ブルージェイズ)は9勝を挙げていて、6月29日のマウンドに上がるが、これを書いている時点で、試合は始まっていない。

 バーランダーは、今シーズンがメジャーリーグ17年目の大ベテランだ。2月に39歳の誕生日を迎えた。

 ここから、さらに10勝を積み上げても、バーランダーは史上最高齢の20勝投手にはならない。ウォーレン・スパーンは、1963年に23勝を挙げた時、42歳だった。ただ、ナ・リーグとア・リーグにおいて、39歳以上のシーズン(6月30日時点の年齢)に20勝以上の投手は、極めて少ない。8人が計11度記録しているだけだ。

筆者作成
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 今シーズンのアストロズは、地区首位を独走している。けれども、バーランダーの白星の多さは、味方の援護や勝ち運によるものだけではない。15登板の97.1イニングで、防御率2.03を記録している。ほぼ全休の2シーズン――登板は2020年の開幕戦だけ――を経て、バーランダーは復活を遂げた。2018~19年の奪三振率12.10以上と比べると、今シーズンの奪三振率は8.32と低めながら、与四球率1.57は同水準だ。

 なお、バーランダーは、これまでに2度、シーズン20勝以上を記録している。2011年に24勝、2019年は21勝を挙げた。白星の数が主な理由ではないと思うが、どちらの年もサイ・ヤング賞に選ばれている。リーグ最多勝は、19勝の2009年を含めて3度だ。この年は、フェリックス・ヘルナンデスCC・サバシアの2人と最多勝のタイトルを分け合い、サイ・ヤング賞の投票では、ザック・グレインキー(カンザスシティ・ロイヤルズ)とフェリックスに次ぐ3位に位置した。ちなみに、バーランダーの受賞は2度、投票3位は1度。その間の投票2位は、3度を数える。2012年、2016年、2018年のいずれも、受賞者と僅差の2位。2016年の投票結果(とそれに対する怒り)については、こちらで書いた。「2人の記者がバーランダーに投票していれば、サイ・ヤング賞の行方は変わっていたのか」

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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