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8日前に退団したベテランが、同じ球団と契約を交わす。なぜ、彼は戻ってきたのか

宇根夏樹ベースボール・ライター
ロビンソン・カノー(左)とノーラン・アレナード May 31, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 007は二度死ぬ。ロビンソン・カノーは、サンディエゴ・パドレスに2度入団する。それも、1ヵ月足らずの間に2度だ。

 6月10日、パドレスは、カノーとマイナーリーグ契約を交わしたことを発表した。前回、カノーがパドレスに入団したのは5月13日、退団したのは6月2日だ。今から8日前に、メジャーリーグの40人ロースターから外され、マイナーリーグ降格ではなく、FAになることを選んだ。その経緯については、「先月入団したばかりのカノーがパドレスを去る。代わりに昇格したのは、秋山翔吾ではなくこの飛ばし屋」で書いた。

 前回と違い、今回はマイナーリーグ契約だ。カノーは、パドレス傘下のAAAでプレーし、昇格をめざす。

 であれば、8日前にマイナーリーグ降格を受け入れてもよかったような気もするが、FAになった後、カノーの代理人を務めるブロディ・バン・ワゲネン(ロック・ネーション・スポーツ)は、他の球団に当たってみたのだろう。けれども、カノーとメジャーリーグ契約を交わそうとする球団は、見つからなかったと思われる。 

 無理もない。カノーの通算打率は.300を超え、300本以上のホームランと500本以上の二塁打を打っている。ただ、年齢は39歳だ。今シーズンは、ニューヨーク・メッツとパドレスで12試合ずつに出場し、打率.195と.091に終わっている。計11安打のうち、長打はホームランが1本しかない。

 なお、前回、パドレスに入団した時、カノーは、一塁コーチのデビッド・マシアスに背番号「24」を譲ってもらった。マシアスは背番号「46」に変更し、カノーが退団した後もそのままなので、今のところ、パドレスの背番号「24」は空いている。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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