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昨年は38本塁打の28歳が「9番打者」に。相手にとっては脅威!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
ジョーイ・ギャロ(ニューヨーク・ヤンキース)Apr 30, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 ここ2試合とも、ジョーイ・ギャロ(ニューヨーク・ヤンキース)は、「9番・ライト」として起用されている。

 本来なら、ギャロは、9番に座るような打者ではない。昨シーズンの38本塁打だけでなく、2017~18年は2年続けて40本以上のホームランを打った。2019年には、通算100本目の単打を打つ前に通算100本塁打に到達した、史上初の選手となった(「「単打100本未満で100本塁打」は、単なる史上初ではなく異次元の記録」)。年齢による衰えとも、まだ無縁のはず。現在の年齢は、28歳だ。

 だが、昨夏にテキサス・レンジャーズからヤンキースへ移ってからは、もともと低かった打率が、さらに下がっている。昨シーズンは、移籍前の95試合が打率.223、移籍後の58試合は打率.160。今シーズンは、ここまでの40試合で打率.167だ。四球率は今シーズンも12%以上の高水準ながら、打率があまりにも低いため、出塁率は.300未満の.270にとどまっている。

 今シーズンの打順は、開幕当初の4~6番から、6~7番を経て、5月28日に9番へ下がった。9番打者として先発出場は5年ぶり。2017年7月30日以来のことだ。5月下旬にジャンカルロ・スタントンが離脱していなければ、ギャロは、スターティング・ラインナップから外されていたかもしれない。スタントンの出場は、DHとライトが半々だ。

 スタットキャストによると、今シーズンのギャロは、ブレーキング・ボール(スライダー、カーブ、ナックルなど)を打ちあぐねている。速球系(4シーム、2シーム、カッター、シンカー)とオフスピード(スプリッター、チェンジアップ、フォーク、スクリュー)に関しては、昨シーズンまでの平均とそう違わない。

 ヤンキースは、5月30日の試合がなく、5月31日から6月5日まで、ホームにロサンゼルス・エンジェルスとデトロイト・タイガースを迎え、3試合ずつを行う。地区首位を快走しているとはいえ、直近の10試合は5勝5敗。5月27日~29日の3試合を含め、10試合中6試合は2得点以下だ。このままいくと、ギャロの不振は、ヤンキースにとって、小さな問題から大きな問題になりかねない。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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