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6回までノーヒットのチームが、1イニング6得点で逆転勝ち。その立役者は…

宇根夏樹ベースボール・ライター
エバン・ロンゴリア(サンフランシスコ・ジャイアンツ)May 29, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 5月29日、サンフランシスコ・ジャイアンツは、最初の6イニングとも、無安打に終わった。正確には、7回表の2死まで、タイラー・マーリー(シンシナティ・レッズ)からヒットを打てずにいた。そこから、タイロー・エストラーダが二塁打を打ち、あと7アウトのところでノーヒッターを免れたものの、次の打者は、マーリーと交代したハンター・ストリックランドに三振を喫し、このイニングも得点を挙げることはできなかった。

 ところが、ジャイアンツは、8回表の2死二塁から6人続けて出塁し、一気に6点を挙げた。四球、シングル・ヒット、ホームラン、四球、シングル・ヒット、二塁打だ。2点ビハインド(0対2)から4点リード(6対2)に変わり、9回裏に2点を返されたものの、勝利を収めた。

 ジャイアンツは、9回表も、最初の3人が続けて仕留められた。9イニング中7イニングは無安打。あとの2イニングは、7回表が1安打、8回表は5安打だ。

 白星は手にすることができなかったものの、アレックス・カッブは、6イニングを投げて2失点にとどめた。エストラーダは、チームで唯一人、マルチ安打を記録した。けれども、この試合のヒーローを一人選ぶなら、エバン・ロンゴリアだろう。彼のホームランにより、スコアは、1対2から4対2となった。

 ロンゴリアは、3月に右手人差し指の手術を受け、開幕から1ヵ月以上、故障者リストに入っていた。5月11日にようやくシーズン初出場を果たしたものの、最初の11試合は、打率も出塁率も.194。ホームランはなく、三振は36打席のちょうど3分の1を占めた。

 今シーズンは、メジャーリーグ15年目。年齢は36歳だ。シーズン30本塁打以上は4度を数え、通算本塁打は300本を超えるが、全盛期は過ぎている。

 だが、ここ4試合のホームランは計4本。5月25日の2打席連続ホームランと、28日~29日の2試合連続ホームランだ。

 また、シーズン4本目のホームランを打つ直前には、三塁の守備でも、ゴールドグラブ3度の技量を発揮した。1死三塁の場面で、高くバウンドした打球をジャンプして捕るや、捕手の構えたところへ送球し、三塁走者のホームインを阻んだ。

 最後の煌めきなのかもしれないが、遅れてきたベテランのタンクには、まだ燃料が残っているように見える。なお、6年1億ドルの契約は、基本的には今シーズンまでだ。この契約には、来シーズンの球団オプション――年俸1300万ドル/解約金500万ドル――がついているとはいえ、それを行使されるかどうかはわからない。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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