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ヤンキースには過去にも「チームメイトの用具を盗んで解雇された選手」がいて…

宇根夏樹ベースボール・ライター
ルーベン・リベラ November 18, 2012(写真:ロイター/アフロ)

 5月12日、ニューヨーク・ヤンキースは、24歳のマイナーリーガー、ジェイク・サンフォードを解雇した。その6日後にNJ.comのブレンダン・クティが報じた記事によると、サンフォードは、チームメイトにバットやグラブをねだったり、ロッカーから盗んだりして、それをオンラインで売っていた。また、サイン入りのグラブを売るとしながら、代金を受け取るだけで送っていなかったという。

 サンフォードは、2019年のドラフトで3巡目・全体105位指名を受けた。昨シーズンは、AとA+でライトとレフトを守り、計101試合に出場し、打率.285と出塁率.356、16本塁打、OPS.823を記録した。今シーズンは、故障していたのか、どのクラスでもプレーしていない。ヤンキースから解雇された5日後、サンフォードは、独立リーグ(フロンティア・リーグ)のオタワ・タイタンズに入団した。

 過去にも、似たようなことは起きている。今から20年前、2002年のことだ。ヤンキースは、2月に契約したばかりのルーベン・リベラを、1ヵ月経たずに解雇した。こちらは、デレク・ジーターのロッカーからバットとグラブを盗み、メモラビリアのディーラーに売っていた。

 当時、リベラは28歳。それまでに、メジャーリーグで7シーズンを過ごしていた。1995年にヤンキースでデビューし、サンディエゴ・パドレス(1997~2000年)とシンシナティ・レッズ(2001年)を経て、ヤンキースへ戻ってきた。1999~2000年は、センターのレギュラーとしてそれぞれ135試合以上に出場し、打率と出塁率は低かったものの、1999年は23本塁打と18盗塁を記録した。

 一方、当時のジーターは27歳。リベラと同じ年にデビューし、翌年は新人王を受賞した。キャプテンに任命されたのは、バットとグラブを盗まれた翌年だが、その前から、ヤンキースの中心選手であり、リーダーだった。

 ちなみに、リベラとマリアーノ・リベラは、従兄弟だ。マリアーノは、ジーターと同じくヤンキース一筋にプレーし、歴代最多の652セーブを挙げた。こちらも、1995年にデビューした。

 マリアーノではないリベラのキャリアは、窃盗によって終わったわけではない。解雇の約3週間後、リベラは、テキサス・レンジャーズに入団した。この年のメジャーリーグ出場は69試合。翌年はサンフランシスコ・ジャイアンツで、31試合に出場した。

 また、メジャーリーガーとしては2003年が最後のシーズンとなったものの、リベラは、メキシカン・リーグを中心に2019年までプレーした。2005年の夏には、ヤンキースと契約を交わし、A+の6試合に出場している。ジーターがプレーしたのは2014年までだ。マリアーノは、ジーターの1年前にユニフォームを脱いだ。

 なお、ベースボール・アメリカは、1995年の開幕前のプロスペクト・ランキングで、ルーベンを全体2位、ジーターを全体4位としていた。マリアーノは、ランクインしていない。マリアーノとジーターは、ともに殿堂入りしている。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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