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登板してホームランも打った翌日、マイナーリーグへ降格。打率.349と好調だが…

宇根夏樹ベースボール・ライター
ルイス・ゴンザレス(サンフランシスコ・ジャイアンツ)May 15, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 5月16日、サンフランシスコ・ジャイアンツは、ルイス・ゴンザレスをAAAへ降格させた。

 前日、ゴンザレスは、投打のどちらでも「活躍」した。7回裏、2死満塁の場面でレフトからマウンドに上がり、最初の打者にはヒットを打たれたものの、そこから5人続けて討ち取った(そのうちの1人は自身の悪送球でアウトにできず)。そして、9回表には、アルバート・プーホルス(セントルイス・カーディナルス)からホームランを打った。

 ゴンザレスやプーホルスのように、野手が登板することは珍しくない。だが、イニングをまたいで投げる野手は、そう多くない。ゴンザレスは、1.1イニングを投げた。また、今シーズン、投手としてホームランを打ったのは、ゴンザレスが1人目だ。大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス)は、8本塁打のいずれも、DHとして記録している。

 ゴンザレスは、故障したスティーブン・ダガーに代わり、4月22日にAAAから昇格し、そこからの21試合中19試合に先発出場した。そして、ホームランこそ2本ながら、打率.349(63打数22安打)と出塁率.397、OPS.889を記録した。

 にもかかわらず、降格させられたのは、アクティブ・ロースターの人数が理由だ。開幕から故障者リストに入っていたトミー・ラステラの復帰に伴い、ジャイアンツは、代わりに誰かをロースターから外す必要に迫られた。

 ゴンザレスではなく、オースティン・スレイターを降格させる選択肢もあったはずだ。同じ外野手で、マイナーリーグ・オプションも残っている。こちらの打撃成績は、打率.259(54打数14安打)と出塁率.412、2本塁打、OPS.838だ。

 ただ、守備はゴンザレスよりもスレイターが上だろう。また、ゴンザレスは左打者、スレイターは右打者だ。ジャイアンツには、左打者が多い。こうしたところが、ゴンザレスを降格させる決め手となった気がする。

 さらに言えば、打率はゴンザレスが勝るが、出塁率はスレイターのほうが高い。四球率は、ゴンザレスの8.2%に対し、スレイターは20.6%だ。

 なお、大学時代のゴンザレスは、投手も務めていた。もっとも、2015~17年の3シーズンとも、防御率は6.00以上だった。

 ゴンザレスについては、こちらでも書いた。

「メジャーリーグでホームランを打った「ルイス・ゴンザレス」は3人目。この人数は同じ名前の最多なのか」

 ゴンザレスにホームランを打たれた、プーホルスの登板については、こちら。

「600本以上のホームランを打っている選手が登板するのは、プーホルスが史上初!?」

「3000安打以上の打者が登板は、プーホルスが何人目!? 登板時のイチローは2935安打」

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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