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過去2年とも0勝のベテランが、チームの「開幕から27試合続けて先発投手の白星なし」に終止符を打つ

宇根夏樹ベースボール・ライター
ホゼ・キンターナ(ピッツバーグ・パイレーツ)May 9, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 5月9日、先発マウンドに上がったホゼ・キンターナ(ピッツバーグ・パイレーツ)は、6イニングを投げ、ロサンゼルス・ドジャースに得点を許さなかった。試合は、パイレーツが5対1で勝利を収め、キンターナには白星がついた。

 2019年9月5日を最後に、キンターナは白星から遠ざかっていた。過去2シーズンは故障もあり、先発11登板とリリーフ22登板で防御率6.16ながら、今シーズンは5月4日までの5先発で防御率3.38。5試合中3試合は、5イニング以上を投げて2失点以下だったが、味方の援護に恵まれず、勝利投手の権利を持って降板したことはなかった。

 キンターナだけでなく、今シーズンのパイレーツは、先発投手に白星がついていなかった。キンターナの白星は、パイレーツの28試合目。ESPNによると、開幕から27試合続けて先発投手の白星なしは、1988年にボルティモア・オリオールズが記録した開幕21試合を上回り、史上最長だという。MLB.comのジャスティス・デロス・サントスも、同じことを報じている。ちなみに、キンターナがコロンビアで生まれたのは、その翌年の1989年だ。

 34年前のオリオールズは、開幕から21連敗を喫し、先発投手のみならず、リリーフ投手の白星もなかった。一方、今シーズンのパイレーツは、開幕から27試合で11勝を挙げ、それらの白星はすべてリリーフ投手が手にした。ちなみに、今シーズン、ここまで6勝23敗のシンシナティ・レッズは、このストリークとは無縁。4月7日に開幕投手を務めたタイラー・マーリーが、5イニングを投げて1失点で白星を挙げた。6勝中3勝は、先発投手に白星がついている。

 33歳のキンターナは、今シーズンがメジャーリーグ11年目だ。2013~19年は7シーズン続けて170イニング以上を投げ、その最初の4シーズンは防御率3点台を記録。2016年と2018~19年は、自己最多の13勝を挙げた。昨シーズンまでと比べ、今シーズンはチェンジアップの割合をグッと増やしている。

 なお、昨シーズン、ロサンゼルス・エンジェルスで10先発以上の9人中4人は、今シーズン、違うチームにいる。彼らのうち、開幕から一度も故障をしていないのはキンターナだけだ。アンドルー・ヒーニー(ロサンゼルス・ドジャース)は2試合に登板しただけで、4月下旬から故障者リストに入っている。ヒーニーとほぼ同時期に離脱したアレックス・カッブ(サンフランシスコ・ジャイアンツ)は5月初めに復帰したが、ディラン・バンディ(ミネソタ・ツインズ)は5月上旬に故障者リストへ入った。

筆者作成
筆者作成

 昨オフの彼らの動向については、こちらで書いた。

「エンジェルスにいた先発投手は、4人ともすでに来シーズンの球団が決まっている」

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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