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バット・フリップで退場させられる。何がいけなかったのか

宇根夏樹ベースボール・ライター
ランディ・アロザレイナ(タンパベイ・レイズ)Apr 16, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 4月16日、ランディ・アロザレイナ(タンパベイ・レイズ)は、バット・フリップの直後に退場となった。もしかすると、バット・フリップで退場は、これが初めてかもしれない。ただ、アロザレイナは、ホームランを打ち、バットを放り投げたのではない。

 1点ビハインドの6回表、無死二塁の場面だ。フルカウントの6球目、外角低目の球を見送ったアロザレイナは、四球を確信して右打席から歩き出した。だが、ホームプレートをまたぐかまたがないかのところで、球審のジュニア・バレンタインは、ストライクとコールした。見逃し三振だ。その瞬間、アロザレイナはバットを高々と放り投げた。バットが落ちてきたのとほぼ同時に、バレンタインは退場を宣告。審判(の判定)に対する侮辱行為ということだ。

 ダグアウトからケビン・キャッシュ監督が出てきたが、もちろん、ストライクの判定は変わらず、退場も覆らない。アロザレイナは憮然とした表情でダグアウトへ歩いてゆき(写真)、落ちたままのバットは、バット・ボーイが拾った。

 この打席でアロザレイナが四球だと思ったのは、2度目だ。3ボールからの4球目が内角高目に来た時も、打席から歩き出しかけた。また、打席に入った時点のアロザレイナは、32打数6安打(打率.188)。ホームランと四球はなく、打点も1に過ぎず、9三振を喫していた。

 アロザレイナは、2020年のポストシーズンで10本のホームランを打ち、1ポストシーズンの最多記録を塗り替えた――リーグ・チャンピオンシップ・シリーズではMVPを受賞した――のに続き、昨シーズンは20-20とOPS.815を記録し、新人王に選ばれた。

 4月17日、アロザレイナは、シーズン初本塁打こそ出なかったものの、二塁打を含む3本のヒットを打ち、打点も挙げた。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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