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「100マイル以上が39球」は新記録だが、結果は白星ではなく黒星

宇根夏樹ベースボール・ライター
ハンター・グリーン(シンシナティ・レッズ)Apr 16, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 4月16日、先発登板したハンター・グリーン(シンシナティ・レッズ)が投げた80球のうち、ほぼ半数の39球は、スタットキャストによると、100マイル以上を記録した(細かいことを言うと、そのなかには100.0マイルが2球あるので、「100マイル超を39球」という表現は正しくない気がする)。これは、2008年以降の「ピッチ・トラッキング・エラ」における、1投手による1登板の最多だ。それまでは、昨年6月15日にジェイコブ・デグローム(ニューヨーク・メッツ)が記録した、33球(85球中)が最も多かった。

 もっとも、この日のグリーンは、黒星を喫した。5.1イニングを投げ、奪三振6と与四球0、3失点(自責点2)だ。6日前のメジャーリーグ初登板は、5イニングで奪三振7と与四球2、3失点(自責点3)。こちらは、白星を手にした。100マイル以上は、92球中20球だった。

 4月16日に記録した100マイル以上の39球中、18球は打者がバットを振らず、12球がボール(6球はストライク)と判定された。打者がバットを振った21球は、11球が空振り(ファウル・チップの1球を含む)、3球がファウル(アウトはなし)、3球が内野ゴロ、2球がシングル・ヒット、内野フライとライナーが1球ずつだ。

 また、4月10日には、101.0マイルの投球をマット・オルソン(アトランタ・ブレーブス)にホームランとされている。オルソンには、その前の打席にシングル・ヒットも打たれた。この投球はさらに速く、101.6マイルを記録した。グリーンの被本塁打は、ここまで3本とも4シームだ。スライダーとチェンジアップは、まだホームランを打たれていない。4月10日の1本目と4月16日のホームランは、それぞれ、98.8マイルと98.9マイルを弾き返された。

 なお、1試合に100マイル以上が20球以上は、グリーンが延べ30人目と31人目。先発投手に限ると、延べ8人目と9人目となる。その試合で黒星は、2016年6月6日に先発登板のジェームズ・パクストン(当時シアトル・マリナーズ/現ボストン・レッドソックス)と2019年5月19日にリリーフ登板のジョーダン・ヒックス(セントルイス・カーディナルス)に続き、4月16日のグリーンが3人目だ。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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