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開幕ロースターに入ったのに、開幕を迎える前にマイナーリーグへ降格!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
ザック・コリンズ Mar 16, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 4月7日、トロント・ブルージェイズは、開幕ロースター(アクティブ・ロースター)の28人を発表した。そこには、菊池雄星加藤豪将も入っている。

 その数時間後に、ブルージェイズは、アンソニー・カストロをクリーブランド・ガーディアンズへ放出し、交換にブラッドリー・ジマーを獲得した。ガーディアンズが開幕戦を終えた直後のことだ。ブルージェイズは、4月8日に開幕を迎える。

 カストロは、ブルージェイズのアクティブ・ロースターに入っていなかった。一方、ジマーは、開幕戦には出場しなかったものの、ガーディアンズのアクティブ・ロースターに入っていた。ジマーのマイナーリーグ・オプションは、すでに切れている。ブルージェイズがジマーをアクティブ・ロースターに入れるには、代わりに誰かを外す必要がある。開幕ロースターに入ったのに、開幕を迎える前にマイナーリーグへ降格する選手が出てくるということだ。

 ライメル・タピアは、ジマーと同じ左打ちの外野手だが、こちらもマイナーリーグ・オプションは切れている。おそらく、ジマーの加入により、マイナーリーグへ降格するのは、捕手のザック・コリンズだろう。こちらは、あと1シーズン分のマイナーリーグ・オプションが残っている。

 ブルージェイズのアクティブ・ロースターには、コリンズの他にも、捕手が2人いる。正捕手のダニー・ジャンセンと、主にDHとして起用される予定のアレハンドロ・カークだ。

 コリンズは、4月3日のトレードにより、シカゴ・ホワイトソックスからブルージェイズへ移ってきた。入れ替わりにホワイトソックスへ移籍したのは、こちらも捕手のリース・マグワイアだ。

 コリンズと違い、マグワイアはマイナーリーグ・オプションが切れている。コリンズではなく、マグワイアがロースターにいた場合、降格させるには、ウェーバーを経なければならず、他球団に獲得される可能性がある。となると、マイナーリーグ・オプションが残っている別の選手、例えば、加藤が降格になっていたかもしれない。

 もちろん、コリンズとマグワイアのトレードは、マイナーリーグ・オプションの有無だけが理由ではない。それについては、こちらで書いた。

「「27歳の捕手」と「27歳の捕手」を交換。どちらも左打者。このトレードの狙いは、どこにあるのか」

【追記:4/11】コリンズが降格するという読みは外れ、ジマーに押し出される形で、加藤がAAAへ送られた。ただ、ジマーの移籍からロースター入りまでは数日のタイムラグがあり、その間に加藤はメジャーデビューした。4月9日に行われた開幕2試合目の8回裏に、ヒットで出塁したカーク――この日は捕手出場――の代走として出場。そのイニングが終わると、加藤はジャンセンと交代したので、メジャーリーグでは守備についておらず、打席にも立っていない。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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