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公式戦ではあり得ない!? デグロームとシャーザー、2人合わせてサイ・ヤング賞5度の豪華リレー

宇根夏樹ベースボール・ライター
マックス・シャーザー(ニューヨーク・メッツ)Mar 27, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 3月27日、ニューヨーク・メッツのバック・ショーウォルター監督は、2人の投手を登板させた。最初の3イニングはジェイコブ・デグローム、その後の6イニングはマックス・シャーザーだ。試合は、メッツが7対3でセントルイス・カーディナルスを下した。

 彼らは、どちらもサイ・ヤング賞投手だ。受賞回数は合計5度。シャーザーは2013年と2016~17年、デグロームは2018~19年に選出された。

 それだけでなく、2人とも、現時点でもトップクラスの投手だ。直近の3シーズン(2019~21年)に計300イニング以上の63人中、デグロームの防御率2.08とK/BB6.92は1位、シャーザーの防御率2.86とK/BB6.21は3位に位置する(それぞれの奪三振率12.49と12.26は2位と3位、与四球率1.80と1.98は6位と9位)。ちなみに、防御率とK/BBの2位、奪三振率の1位は、いずれもゲリット・コール(ニューヨーク・ヤンキース)だ。防御率2.84とK/BB6.25、奪三振率12.79(と10位の与四球率2.04)を記録している。

 サイ・ヤング賞を2度以上受賞した投手は、21人を数える。どちらも2度目の受賞後に、チームメイトとなったのは、見落としがなければ、シャーザーとデグロームが6組目だ。その前の5組は、グレッグ・マダックストム・グラビン(1999~2002年/アトランタ・ブレーブス)、ブレット・セイバーヘイゲンペドロ・マルティネス(2001年/ボストン・レッドソックス)、グラビンとペドロ(2005~07年/メッツ)、ペドロとヨハン・サンタナ(2008年/メッツ)に、クレイトン・カーショウとシャーザー(2021年/ロサンゼルス・ドジャース)。5組目の2人は、今オフに揃ってFAとなり、シャーザーはメッツに入団し、カーショウはドジャースへ戻った。シャーザーの契約については、「37歳の投手が3年1億3000万ドルの契約を得る。「年4000万ドル以上」は史上初」で書いた。

 これまでの5組とも、レギュラーシーズンの同じ試合では登板していない。延べ10人とも、このスパンの登板はすべて先発だった。6組目のシャーザーとデグロームも、そうなるはずだ。デグロームが開幕投手を務め、シャーザーは次の試合に投げると思われる。

 ただ、1組目のマダックスとグラビンは、1999年のディビジョン・シリーズ第3戦に、揃って登板した。グラビンが最初の6イニングを投げ、2番手のテリー・マルホランドは、7回裏に1死二塁とされたところで、第1戦に7イニングを投げたマダックスと交代した。マダックスは、三盗を決められた後に最初の打者を歩かせ、マウンドを降りた。

 ポストシーズンであれば、シャーザーとデグロームが同じ試合で投げてもおかしくない。レギュラーシーズンでも、ポストシーズン進出がかかっている試合なら、なくはないだろう。シャーザーは、昨年のポストシーズンで4登板。その3登板目となったディビジョン・シリーズ第5戦は、9回裏に投げてセーブを挙げ、ドジャースのリーグ・チャンピオンシップ・シリーズ進出を決めている。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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