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今シーズンのブルペンは、エンジェルスの強み!? 新たに3人を加え、クローザーのイグレシアスとは再契約

宇根夏樹ベースボール・ライター
ライアン・タペーラ Aug 15, 2021(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 ロサンゼルス・エンジェルスは、クローザーのライセル・イグレシアスを4年5800万ドルで呼び戻しただけでなく、新たに3人をブルペンに加えた。エアロン・ループを2年1700万ドルで迎え入れ、ライアン・タペーラアーチー・ブラッドリーとは、それぞれ、2年1400万ドルと1年375万ドルの契約を交わした。

 その一方で、エンジェルスからFAとなったスティーブ・シーシェックは、1年175万ドルでワシントン・ナショナルズへ去った。だが、マイク・マイヤーズは、FAまであと2年。オースティン・ウォーレンは、昨年の夏にメジャーデビューしたばかりだ。

 昨シーズンの成績からすると、50登板以上&防御率4.00未満の3人中1人が抜け、3人が加わったということになる。3-1+3=5だ(ウォーレンは防御率1.77だが、16登板なので、ここには数えていない)。リリーフ投手の場合、個々の防御率は先発投手ほどの指標にはならないものの、昨シーズンのブルペンと比べれば、明らかに向上が期待できる。エンジェルスのブルペン防御率は4.59。この数値は、ア・リーグの15チーム中、ボルティモア・オリオールズの防御率5.70に次いで高かった。

筆者作成
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 加入した3人とも、昨シーズンに限らず、それまでの実績もある。ループについては、「エンジェルスが防御率0点台の救援投手と契約。これにより、クローザーのイグレシアスと再契約の可能性は…」で書いた。

 タペーラの投球は、カッター/スライダーが半数近くを占める。この球種は空振り率が高く、スタットキャストによると、昨シーズンは50%以上を記録した。ブラッドリーは、4シームとカーブを主要2球種としていたが、昨シーズンはどちらも少し減らし、シンカーとチェンジアップを増やした。この変更は、4シームの平均球速が95マイルを下回るようになったのが理由かもしれない。その結果、ゴロ率は急上昇している。

 今月半ばに「エンジェルスは先発投手を手に入れられるのか。ロックアウトが終わった途端、FAの大物2人は他球団と契約」で書いたように、エンジェルスのローテーションは万全とは言い難い。その後も、新たな先発投手は加わっていない。けれども、彼らが試合を壊すことなく5~6イニングを投げれば、そこから、イグレシアスまでをつなぐ「ブリッジ」は整っている。

 なお、イグレシアスの再契約については、こちらで書いた。

「イグレシアスの4年5800万ドルは高い!? ナ・リーグのセーブ王は2年1400万ドルで新天地へ」

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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