大型契約中の遊撃手がいるのに、別の遊撃手を大型契約で迎え入れたのは、二塁を守らせるため…だけではなく
ボストン・レッドソックスは、トレバー・ストーリーを6年1億4000万ドル(2022~27年)の契約で迎え入れた。これまで、ストーリーはコロラド・ロッキーズで遊撃手としてプレーしていたが、今シーズンは二塁を守る。レッドソックスの遊撃には、ザンダー・ボガーツがいる。3年前、レッドソックスは、ボガーツと6年1億2000万ドル(2020~25年)の延長契約を交わした。今シーズンは、その契約の3年目だ。
ただ、ともに29歳のストーリーとボガーツが併殺デュオを組むのは、今シーズンだけかもしれない。シーズン終了後に、ボガーツはオプト・アウトする(契約を打ち切ってFAになる)ことができる。
ボガーツの契約は、年俸2000万ドル×6年だ。来オフのFA市場に出て、残りの3年6000万ドル(2023~25年)を上回る、新たな契約を得られると判断すれば、ボガーツはオプト・アウトするだろう。その可能性は、大いにある。
レッドソックスがストーリーを手に入れたのは、ボガーツがいなくなることを見越した布石のように見える。ここから開幕まで、あるいはシーズン中にボガーツ(の代理人)と延長契約の交渉を行うにしても、次の遊撃手がいるのといないのでは、大違いだ。
一方、ストーリーは、2025年のシーズン終了後にオプト・アウトできるが、ストーリーがそうした場合、レッドソックスは、2028年の球団オプション(年俸2500万ドル)を行使すれば、ストーリーがFAになるのを止められる。
2025年の年齢は32歳なので、ストーリーがオプト・アウトするかどうかは、微妙なところだ。オプト・アウトした際、レッドソックスが引き留めるかどうかもわからない。
レッドソックスは、昨年のドラフトにおいて、高校生の遊撃手、マーセロ・メイヤーを全体4位で指名した。MLBネットワークの解説者で、選手時代はシアトル・マリナーズの二塁手として活躍したハロルド・レイノルズは、ドラフトの直前に、メイヤーを殿堂選手のチッパー・ジョーンズになぞらえていた。チッパーが両打ちの三塁手――レフトを守った時期もあった――であるのに対し、メイヤーは左打ちの遊撃手だが、チッパーもプロ入り当初は遊撃手だった。それ以上によく見かけるのは、同じ左打ちの遊撃手、コリー・シーガー(テキサス・レンジャーズ)との比較だ。
順調にステップアップすれば、2025年か2026年頃に、メイヤーは遊撃のレギュラーとなっているだろう。