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日本プロ野球でプレーした「ハーパー」は2人。昨年のナ・リーグMVPが3人目になる可能性は低いが…

宇根夏樹ベースボール・ライター
ブライス・ハーパー(フィラデルフィア・フィリーズ)Sep 6, 2021(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 昨年、ブライス・ハーパー(フィラデルフィア・フィリーズ)は、6年ぶり2度目のMVPを受賞した。これまでに日本プロ野球でプレーした「ハーパー(Harper)」は皆無ではないが、ブライスがそこに加わる可能性は低い。

 日本プロ野球を経験した「ハーパー」は、見落としがなければ、テリー・ハーパーブレット・ハーパーの2人だ。テリーは、1988年にヤクルト・スワローズで10試合に出場。ブレットは、2010~11年に横浜ベイスターズ、2012年は東北楽天ゴールデンイーグルスでプレーした。出場は計186試合だ。

 ブライスと同じく、テリーとブレットも野手だが、3人に共通する点は、他には見当たらない。例えば、左打者は3人中2人、外野手もそう。メジャーリーグでプレーしたのも、3人中2人だ。

筆者作成
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 テリーとブレットのうち、ブライスに近いほうを強いて挙げるなら、ブレットだろう。BHのイニシャルだけでなく、パワーのある左打者というところも同じだ。2005年は、ニューヨーク・メッツ傘下のA+とAAで計36本塁打。2010年の横浜でも、64試合で19本のホームランを打った。

 また、ブレットはメジャーデビューできなかったが、父のブライアンは、メジャーリーグで16シーズンを過ごした。1989~93年は、ミネソタ・ツインズの正捕手としてプレーし、1991年のワールドシリーズ第7戦でも、1回表から10回表までマスクをかぶった。この試合は、ジャック・モリスが完封し、10回裏にジーン・ラーキンがサヨナラ・ヒットを打った。

 一方、自身がメジャーリーガーのブライスは、兄のブライアンがマイナーリーガーだ。左投手だった兄は、ワシントン・ナショナルズ傘下のマイナーリーグで投げた後、2019年の独立リーグを最後にユニフォームを脱ぎ、不動産業界に転身した。

 また、ブレットの父とブライスは、年こそ違うものの、同じ誕生日だ。1959年10月16日と1992年10月16日に生まれた。

 ちなみに、ブレットの父はBrian、ブライスの兄はBryan。ドラフトで指名されてプロ入りしたのは、1977年の4巡目・全体85位(カリフォルニア・エンジェルス)と2011年の30巡目・全体907位(ナショナルズ)だ。

 なお、阪神タイガースのチェン・ウェインは、ブレットとブライスの両者にホームランを打たれている。ブレットには、中日ドラゴンズ時代の2010年に2本。ブライスには、マイアミ・マーリンズ時代の2019年に1本だ。今後、前田健太(ミネソタ・ツインズ)と澤村拓一(ボストン・レッドソックス)も、そうなるかもしれない。

 ブライスにホームランを打たれた投手については、こちらでも書いた。

「日本プロ野球には「ハーパーに本塁打を打たれたことのある投手」が5人。その当時のことを思い出した!?」

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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