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無敗のまま引退し、最も多くの白星を挙げた投手は「何勝0敗」なのか。この投手は通算152登板で…

宇根夏樹ベースボール・ライター
クレイ・ラパダ MAY 5, 2012(写真:ロイター/アフロ)

 二桁の通算勝利を挙げ、無敗のままキャリアを終えた投手はいない。最も白星が多いのは、8勝0敗のクレイ・ラパダだ。割と最近の投手なので、覚えている人もいるかもしれない。2007~13年の7シーズンに、すべてブルペンから登場し、152試合に投げた。黒星だけでなく、セーブもないが、16ホールドを記録している。

 左のサイドアーマーだったラパダは、1イニング未満のショート・リリーフが多かった。ベスト・シーズンの2012年は、ニューヨーク・ヤンキースで70試合に登板し、防御率2.82を記録したが、投げたのは38.1イニングだ。白星は、2008年に3勝、2011年に2勝、2012年に3勝を挙げた。この8試合は、ビハインドと同点からの登板が4度ずつ。味方の逆転あるいは勝ち越しによって、白星を手にした。もっとも、ツキに恵まれただけではない。この8登板とも、ラパダはほぼ完璧に封じた。対戦した計18人中、出塁させたのは1人だけ。その走者も、すぐに牽制で刺した。また、引き継いだ走者も進塁させていない。同点の1死満塁で登場し、最初の打者を併殺打に仕留めた試合もあった。

 2014~15年にAAAで投げた後、ラパダはサンフランシスコ・ジャイアンツのコーチング・スタッフに加わり、昨年はアシスタント・ピッチング・コーディネーターとして働いた。

 無敗の現役投手では、チェイスン・ブラッドフォードの7勝が最も多い。ただ、ブラッドフォードがメジャーリーグで登板したのは、2019年が最後だ。昨年は、アトランタ・ブレーブス傘下のAAAで投げた。昨年、メジャーリーグで登板した投手に限ると、トラビス・バーゲンが無敗の最多勝だ。2019~21年に、5勝0敗を記録している。ブラッドフォードもバーゲンも、現在はFA。それぞれの通算登板は、86試合と39試合だ。

 なお、日本プロ野球で無敗の投手のなかでは、見落としがなければ、レオ・カイリーの6勝が最も多い。1953年に毎日オリオンズで6試合に投げ、すべて白星を挙げた。防御率は1.80だった。もっとも、カイリーは、その前後にメジャーリーグで黒星を喫している。1951年は7勝7敗、1954~56年と1958~60年は19勝20敗だ。通算26勝27敗なので、黒星のほうが多い。現役投手では、阪神タイガースの島本浩也(現・育成)が通算5勝、読売ジャイアンツのルビー・デラロサが通算4勝を挙げ、ともに黒星はない。カイリーと同様に、デラロサも2011年~17年にメジャーリーグで投げ、26勝30敗を記録している。

 通算0勝の最多敗については、こちらで書いた。

「通算0勝で「最も多く負けた投手」は何敗しているのか。現役最多は0勝8敗」

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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