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松坂大輔が届かなかった「日米200勝」は誰が達成しているのか。日米100勝は26人

宇根夏樹ベースボール・ライター
松坂大輔(左)と田中将大 MARCH 5, 2009(写真:アフロスポーツ)

 昨年限りで引退した松坂大輔は、1999~2006年に日本プロ野球(NPB)で108勝、2007~14年にメジャーリーグ(MLB)で56勝、2018年にNPBで6勝を挙げた。それらを合計した日米170勝は、岩隈久志(NPB107勝/MLB63勝)と並ぶ。

 NPBとMLBのどちらでも白星を挙げ、その合計が100以上の投手は、26人を数える。ここには、NPBとMLBの両方で投げていても、一方が0勝の投手は含めていない。桑田真澄(NPB173勝)や小宮山悟(NPB117勝)、ドン・ニューカム(MLB149勝)やブラッド・ペニー(MLB121勝)がそうだ。ちなみに、ニューカムの白星の数は、1949~51年と1954~60年にナ・リーグとア・リーグで記録したものだ。1944~45年のニグロリーグを加えると、150勝を超える。1962年の中日ドラゴンズでは、野手としてプレーした――ニュークの登録名で12本のホームランを打った――が、1試合だけマウンドに上がった。

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 日米200勝は、野茂英雄黒田博樹の2人が達成している。野茂は、1990~94年に近鉄バファローズで78勝、1995~2005年にロサンゼルス・ドジャースなどで123勝を挙げた。リリーフとして3登板の2008年は、白星と黒星、セーブとホールドのいずれもなかった。黒田は、1997~2007年に広島東洋カープで103勝、2008~14年にドジャースとニューヨーク・ヤンキースで計79勝、2015~16年に再び広島東洋で21勝だ。

 彼らに次ぐ、日米183勝のビル・ガリクソンは、メジャーリーグ2年目の1980年から8シーズンで101勝を記録し、読売ジャイアンツで投げた1988年と1989年は、それぞれ14勝と7勝。さらに、1990~94年にメジャーリーグで61勝を挙げた。

 日米200勝に最も近い現役投手は、東北楽天ゴールデンイーグルスの田中将大(NPB103勝/MLB78勝)だ。もっとも、到達にはあと19勝を要する。田中のシーズン最多は、2013年の24勝。2011年も19勝を挙げている。ただ、昨年は4勝にとどまったこともあり、日米200勝目は、今年ではなく来年以降となる可能性が高い。NPBで1シーズンに19勝以上は、2013年の田中が最後だ。2014年以降は、シーズン17勝以上も2人。2017年に17勝の菅野智之(読売ジャイアンツ)と、2021年に18勝の山本由伸(オリックス・バファローズ)しかいない。

 福岡ソフトバンク・ホークスの和田毅(NPB143勝/MLB5勝)は、あと2勝を積み上げると、日米150勝となる。NPBの一軍で投げた過去14シーズンのうち、最少は、2009年と2017年と2019年の4勝。昨年は5勝だ。早ければ、4月中の到達もあり得る。順調にいけば、日米150勝に続き、今年中にNPB150勝も達成しそうだ。

 阪神タイガースのチェン・ウェイン(NPB37勝/MLB59勝)は、日米100勝まで4勝だ。こちらは、2020年の秋にNPBへ戻ってから、計6先発で1勝ながら、そのうちの5登板は6イニング以上を投げて自責点2以下だった。また、現在はFAの菊池雄星(NPB73勝/MLB15勝)も、日米100勝まで12勝なので、今年中の到達は不可能ではない。もっとも、NPBで投げた最後の3シーズン(2016~18年)はいずれも防御率3.10以下&12勝以上だが、MLBでは3シーズン(2019~21年)とも防御率4.40以上&7勝以下だ。昨年は、オールスター・ブレイクまでの16先発で防御率3.48を記録し、6勝を挙げたものの、その後の13先発は防御率5.98で1勝。9月下旬にローテーションから外され、リリーフとしても、次の登板はなかった。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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