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MLB打撃ランキング2019-21。過去3年に100本塁打は1人。大谷翔平がトップ10入りしたのは…

宇根夏樹ベースボール・ライター
左から、マンシーニ、ストーリー、アロンゾ、ソト、大谷、ペレス、ギャロ、オルソン(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 直近の3シーズン、2019~21年に計100本以上のホームランを打ったのは、106本のピート・アロンゾ(ニューヨーク・メッツ)だけだ。メジャーリーグ1年目の2019年が53本、短縮シーズンの2020年が16本、2021年は37本。2019年はルーキーのシーズン記録を塗り替え、本塁打王も獲得し、この年と2021年はオールスター・ゲームのホームラン・ダービーで優勝した。両年の間の2020年は、オールスター・ゲームが開催されず、ホームラン・ダービーもなかった。

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 本塁打6位タイ(83本)のホルヘ・ソレーアも、アロンゾと同じく、2019年にア・リーグ最多の48本を記録し、タイトルを手にした。一方、過去2年の本塁打王は、いずれもトップ10にランクインしていない。2020年にア・リーグ最多(22本)のルーク・ボイト(ニューヨーク・ヤンキース)とナ・リーグ最多(18本)のマーセル・オズーナ(アトランタ・ブレーブス)は、どちらも75位タイの54本。2021年にそれぞれ48本のホームランを打ち、ア・リーグでタイトルを分け合ったブラディミール・ゲレーロJr.(トロント・ブルージェイズ)とサルバドール・ペレス(カンザスシティ・ロイヤルズ)は、26位タイの72本と59位タイの59本だ。ペレスは2019年3月にトミー・ジョン手術を受け、このシーズンは全休した(「大谷翔平とサルバドール・ペレスの共通点。本塁打王を獲得すれば「トミー・ジョン手術の経験者」では初」)。2021年にナ・リーグ最多(42本)のフェルナンド・タティースJr.(サンディエゴ・パドレス)は、あと1本打てば、10位に並んでいた。

 OPSなどは、950打席以上の175人を対象とした。これは、規定打席の約80%だ。162試合+60試合+162試合=384試合、384試合×3.1=1190.4打席、1190打席×0.8=952打席なので、下一桁を四捨五入して950打席とした。

 OPS1.000以上は、1.062のマイク・トラウト(ロサンゼルス・エンジェルス)と1.001のホアン・ソト(ワシントン・ナショナルズ)の2人だ。トラウトは、2015年からOPS.990以下のシーズンがなく、5月半ばまでしか出場できなかった2021年も、OPSは1.090と高かった。ソトは、メジャーリーグ1年目の2018年を含め、通算でOPS.981を記録している。通算出場は464試合。トラウトのデビューから464試合目までのOPSは.946だった。

 打率.300以上は10人、出塁率.400以上は4人。ソトとフレディ・フリーマンは、そのどちらにも名を連ねる。

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 ヤズマニ・グランダル(シカゴ・ホワイトソックス)は、打率.250未満ながら出塁率は.380を超える。打率.241は142位、出塁率.388は8位だ。2021年の375打席はその差がさらに大きく、打率.240と出塁率.420を記録した。一方、打率1位(.322)のティム・アンダーソン(ホワイトソックス)と10位(.301)のボー・ビシェット(ブルージェイズ)は、出塁率.350未満だ。彼らの出塁率.349と.345は、58位と70位に位置する。

 グランダルとアンダーソンのチームメイトであるホゼ・アブレイユは、唯一人、300打点を記録した。ただ、2021年の117打点は、二冠王のペレスと4打点差のア・リーグ2位。3年連続の打点王とはならなかった。

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 二塁打1位(107本)に並ぶラファエル・デバース(ボストン・レッドソックス)とニック・カステヤノスは、長打もトップ2だ。デバースは194本、カステヤノスは188本の長打を打った。2人とも、三塁打は6本。ホームランの差が、そのまま長打の差となっている。

 大谷翔平(エンジェルス)は、三塁打のトップ10にランクインした。9位タイだ。13本の内訳は、2019年の5本と2021年の8本。2020年の0本に対し、2021年はア・リーグ最多を記録した。また、盗塁は打撃ではないが、大谷はこちらの順位も高く、14位タイ(45盗塁)に位置する。

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 盗塁10位(48盗塁)のマレックス・スミス(ブルージェイズ)は、ア・リーグで盗塁王を獲得した2019年の46盗塁プラス、2020年の2盗塁だ。2021年は、メジャーリーグの試合に出場していない。故障もあったが、それよりも、出塁できないことが主な理由だ。

 四球と三振のトップ10は、以下のとおり。ジョーイ・ギャロ(ヤンキース)は、どちらにもランクインしている。192四球が8位タイ、406三振は4位だ。ホームランも32位タイの70本を記録していて、この3スタッツの合計は打席の58.6%を占める。950打席以上の175人中、この割合が50%以上の選手は、ギャロの他に、54.5%のミゲル・サノー(ミネソタ・ツインズ)しかいない。

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 ちなみに、大谷の他のスタッツは、71本塁打がJ.D.マルティネス(レッドソックス)とポール・ゴールドシュミット(セントルイス・カーディナルス)と並んで29位タイ、OPS.880が22位、打率.258が103位、出塁率.351が51位、DJ・ラメイヒュー(ヤンキース)とヨーダン・アルバレス(ヒューストン・アストロズ)と同数の186打点が46位タイ、ロナルド・アクーニャJr.(ブレーブス)ら4人と同数の二塁打52本が122位タイ、クリス・ブライアントと同数の長打136本が40位タイ、アンソニー・リゾーと同数の151四球が37位タイ、カイル・シュワーバーと同数の349三振は20位タイだ。

【追記:1/9】

 日本プロ野球編は、こちら。

「NPB打撃ランキング2019-21。過去3年に100本塁打以上は2人。OPS1.000以上は1人だけ」

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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