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「1試合9ポジション出場」と「兄弟バッテリー」のユーティリティが引退

宇根夏樹ベースボール・ライター
アンドルー・ローマイン Sep 4, 2021(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 アンドルー・ローマインが、インスタグラムで引退を表明した。今年のクリスマス・イブに、36歳の誕生日を迎える。

 内外野を守るユーティリティ・プレーヤーだったローマインは、2010~18年と2020~21年にメジャーリーグでプレーし、609試合に出場した。11シーズンの打撃成績は、打率.233と出塁率.288、11本塁打と40盗塁、OPS.587だ。2015~17年は、デトロイト・タイガースで3シーズン続けて100試合以上に出場したが、350打席以上のシーズンは一度もなかった。殿堂入りするようなキャリアではないし、記者投票の候補に挙がることすらないだろう。

 だが、ローマインは、球史にその名を刻んでいる。2017年9月30日の試合で、全9ポジションの守備についた。これは、ナ・リーグとア・リーグを合わせて5人目だ(全員、ア・リーグのチームで記録)。1965年9月8日のバート・キャンパネリス、1968年9月22日のセイザー・トーバー、2000年9月6日のスコット・シェルドン、2000年10月1日のシェーン・ホールター、そして、ローマイン。その後は、まだ誰もいない。ローマインのインスタグラムのハンドルネームは、all9romine(オール9ローマイン)だ。シェルドンは、2002~03年にオリックス・ブルーウェーブでプレーした。

 また、ローマインは、シカゴ・カブスでプレーした今シーズン、弟のオースティンと初めてチームメイトとなり、8月12日にはバッテリーを組んだ。弟は捕手だ。イライアス・スポーツ・ビューローによると、兄弟バッテリーは、1900年以降の9組目。それまでの8組は、兄弟の一方が本職の投手だった。兄のアンドルーは通算8登板。弟のオースティンは2019年に1登板の他、その前年のディビジョン・シリーズでも投げている。こちらは、先月下旬に33歳となった。現時点ではFAだ。

 なお、1試合9ポジション出場と兄弟バッテリーのどちらも記録した選手は、他にはいない。それぞれについては、こちらで書いた。

「1試合に9ポジションを守った選手がマリナーズへ移籍」

「1900年以降9組目の「兄弟バッテリー」がこれまでの8組と違っていたのは…」

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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