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選手が選んだ「最優秀選手」は「MVP」も受賞しているのか。今年の大谷翔平は…

宇根夏樹ベースボール・ライター
大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス)Sep 30, 2021(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス)が、プレーヤー・チョイス・アウォーズの「プレーヤー・オブ・ザ・イヤー」と「アウトスタンディング・プレーヤー」に選出された。

 これらの受賞者は、選手による投票で決まる。「プレーヤー・オブ・ザ・イヤー」は両リーグで1人。1998年に制定された。「アウトスタンディング・プレーヤー」は各リーグ1人ずつ。こちらは1992年からだ。1992年のア・リーグでは、クローザーのデニス・エカーズリーが受賞しているが、他はいずれも野手。1994年に「アウトスタンディング・ピッチャー」の選出が始まった。ここでは、それぞれ、最優秀選手、最優秀野手、最優秀投手と表記する。ちなみに、今年のナ・リーグの最優秀野手は、ブライス・ハーパー(フィラデルフィア・フィリーズ)。最優秀投手は、ア・リーグがロビー・レイ(トロント・ブルージェイズ)、ナ・リーグはマックス・シャーザー(ワシントン・ナショナルズ/ロサンゼルス・ドジャース)だ。

 今年の大谷がそうであるように、最優秀選手に選ばれた選手のほとんどは、それと同時に最優秀野手か最優秀投手に選出されている。例外は、1998年のマーク・マグワイアと2018年のJ.D.マルティネス(ボストン・レッドソックス)だけだ。1998年のナ・リーグの最優秀野手は、サミー・ソーサだった。2018年のア・リーグは、J.D.のチームメイトであるムーキー・ベッツ(現ロサンゼルス・ドジャース)が選ばれた。

 その一方で、最優秀選手は、BBWAA(全米野球記者協会)選出のリーグMVPとは必ずしも一致しない。前年までの23人中、リーグMVPも受賞したのは14人。他の9人は、投票2位が5人、3位と4位が2人ずつだ。投票4位以内という点では100%だが、最優秀選手とリーグMVPのダブル受賞は60.9%にとどまる。

筆者作成
筆者作成

 もっとも、2006年以降に限ると、ダブル受賞は15人中12人。その割合は80.0%となる。

 今年の大谷は、最優秀選手に続き、リーグMVPも受賞するに違いない。そう考える理由は、9月半ばに「ゲレーロJr.が三冠王の場合、大谷はMVPを受賞できる!?」で書いたとおりだ。ブラディミール・ゲレーロJr.(ブルージェイズ)は打撃三冠のうち本塁打王を獲得しただけで、サルバドール・ペレス(カンザスシティ・ロイヤルズ)が本塁打と打点の二冠王となり、大谷のホームランは彼らより2本少なかったが、基本的なところは、この記事の時点から変わっていない。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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