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3年連続ポストシーズン進出の監督が解任。その理由は…

宇根夏樹ベースボール・ライター
マイク・シールト(左)とヤディアー・モリーナ Sep 20, 2020(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 10月14日、セントルイス・カーディナルスは、マイク・シールトの監督解任を発表した。

 3年前の夏から、シールトは采配を振ってきた。2018年はベンチ・コーチとして開幕を迎え、7月半ばに解任されたマイク・マシーニー(現カンザスシティ・ロイヤルズ監督)に代わる暫定監督として、41勝28敗(勝率.594)を記録した。2019年以降は、地区優勝、ワイルドカード、ワイルドカード。今シーズンの終盤には、17連勝を記録した。

 ここ2年とも、カーディナルスはポストシーズンで先へ進めていない。昨年はワイルドカード・シリーズ敗退(1勝2敗)、今年はワイルカード・ゲームで敗れた。2019年はディビジョン・シリーズ(3勝2敗)から勝ち上がったが、リーグ・チャンピオンシップ・シリーズは1勝も挙げられなかった。

 地区制が始まり、ポストシーズンがワールドシリーズだけではなくなった1969年以降、カーディナルスが2度続けて最初のラウンドで姿を消したのは、今回が初めてだ。2年連続に限らず、ブランクを挟んだ2度のポストシーズンでも、そういうことはなかった。

 ただ、これが解任の理由ではないらしい。会見に臨んだベースボール運営部門の長、ジョン・モゼラックは「フィロソフィカル・ディファレンシーズ」と説明した。直訳すれば、哲学の相違だ。シールトの考え方や方針が、カーディナルスの流儀、「カーディナル・ウェイ」と違う、あるいは違ってきたということだろうか。

 その一方で、カーディナルスは、レギュラーシーズンが終わるのを待たず、大ベテラン2人の契約を延長した。8月に39歳のヤディアー・モリーナと1年1000万ドル、10月に40歳のアダム・ウェインライトと1年1750万ドルの延長契約を交わした。彼らは「カーディナル・ウェイ」を知り尽くした選手だ。それぞれ、2004年と2005年にカーディナルスからメジャーデビューして以来、一度も移籍していない。

 レギュラーシーズン終了後の監督解任は、カーディナルスが3チーム目となる。ニューヨーク・メッツはルイス・ロハス、サンディエゴ・パドレスはジェイス・ティングラーを解任した。この両チームは、どちらもポストシーズン進出を期待されながら、それを実現することができなかった。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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