Yahoo!ニュース

マリナーズが「ポストシーズンから最も遠ざかるチーム」の称号を返上した場合、受け継ぐのはどのチーム?

宇根夏樹ベースボール・ライター
ジーン・セグーラ(左)とカイル・シーガー Aug 9, 2018(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 シアトル・マリナーズは、現時点で「ポストシーズンから最も遠ざかるチーム」だ。レギュラーシーズンで116勝を挙げた2001年を最後に、地区優勝はなく、ワイルドカードも手にしていない。

 今年もまた、この称号を返上することはできないかもしれない。9月30日を終えた時点では、ボストン・レッドソックスと並び、ワイルドカードの2番手に位置していたが、10月1日の試合に、レッドソックスは4対2で勝ち、マリナーズは1対2で敗れた。ニューヨーク・ヤンキースは91勝、レッドソックスは90勝、マリナーズとトロント・ブルージェイズは89勝。いずれも、残すはあと2試合だ。ヤンキースが1勝、レッドソックスが2勝を挙げると、マリナーズとブルージェイズは追いつけない。

筆者作成
筆者作成

 ただ、マリナーズもブルージェイズも、ポストシーズン進出の可能性は、まだゼロではない。今年、マリナーズがポストシーズンにたどり着いた場合、「ポストシーズンから最も遠ざかるチーム」の称号は、フィラデルフィア・フィリーズが受け継ぐことになる。2007~11年の地区5連覇後、フィリーズはポストシーズンへ進むことができていない。今年も、すでに進出の可能性は潰えている。

筆者作成
筆者作成

 マリナーズは20年前、フィリーズは10年前が最後だ。そこには、10年の差がある。前年のポストシーズン進出チームが決まるまでは、そうではなかった。マリナーズとフィリーズの間には、3チームが存在していた。昨年、マイアミ・マーリンズは2003年以来となるポストシーズン進出を果たした。サンディエゴ・パドレスは2006年以来、シカゴ・ホワイトソックスは2008年以来の進出だった。

 現在のポストシーズンは、1リーグ5チームで行われている。東地区、中地区、西地区の優勝チームとワイルドカードの2チームだ。けれども、短縮シーズンの昨年は、各地区の優勝チームと2位のチームに、ワイルドカードの2チームによる、1リーグ8チームのポストシーズンだった。

 10年以上にわたるブランクを解消した3チームは、いずれも地区2位としてポストシーズンへ進んだ。そのうちの2チームは、例年の1リーグ5チームに当てはめても、ポストシーズン進出となる。37勝のパドレスと35勝のホワイトソックスは、どちらも例年のワイルドカードに相当する。

 一方、31勝のマーリンズは、ボーダーライン上だ。パドレスに次ぎ、ワイルドカードの2番手ながら、同じく31勝のシンシナティ・レッズと並ぶ(勝利数で判断した場合。30勝のセントルイス・カーディナルスは、レギュラーシーズンの60試合中2試合を行わなかった)。

 なお、ベースボール・リファレンスによると、ポストシーズンの試合に出場したことがない現役選手のなかで、レギュラーシーズンの出場試合が多い2人は、1478試合のカイル・シーガー(マリナーズ)と1230試合のジーン・セグーラ(フィリーズ)だ。上の写真のとおり、2人はチームメイトだったこともある。2011年にデビューしたシーガーは、マリナーズ一筋。シーガーの翌年にエンジェルスからデビューしたセグーラは、その3日後にブルワーズへ移り、2016年以降は、アリゾナ・ダイヤモンバックス(2016年)、マリナーズ(2017~18年)、フィリーズ(2019年~)でプレーしている。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

宇根夏樹の最近の記事