Yahoo!ニュース

三塁走者がわざとアウトになる。どうしてそんなことをしたのか

宇根夏樹ベースボール・ライター
カイル・タッカー(左)とジョシュ・バンミーター Sep 18, 2021(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 9月18日、1点を追うヒューストン・アストロズは、6回裏、ユリ・グリエルのシングル・ヒットとカイル・タッカーの二塁打により、無死二、三塁とした。そこから、カルロス・コレイアがライトへフライを打ち、グリエルはホームイン。タッカーも三塁へ進んだ。同点に追いつき、なおも逆転のチャンスだった。

 ところが、その直後、タッカーはホームへ走り出した。ボールを持ったまま投手が駆け寄ってくると、三塁へ戻ろうとし、三塁とホームの間に挟まれた。再びホームへ向かっていったものの、追いかけてきた三塁手にタッチされ(写真)、アウトになった。場面は、1死三塁から2死走者なしに転じた。

 これだけでは、タッカーのボーンヘッドにも思える。投手に隙があったとしても、ホーム・スティールを試みる必要はなかった。繰り返すが、場面は1死三塁だった。その前と同じように、外野フライでもホームインできる。ただ、ミスを犯したのは、タッカーではなくグリエルだ。スタートが早すぎた。ライトが捕球するよりも早く、グリエルは三塁ベースを離れてホームへ向かった。

 相手のアリゾナ・ダイヤモンドバックスも、そのことに気づいていたらしい。グリエルが飛び出す前に、投手はアピールするために三塁へ投げようとしていた。グリエルの得点が無効になるのを防ごうと、タッカーはアウトになるのを承知で飛び出したというわけだ。新たなプレーが起きれば、その前のプレーについてアピールすることはできなくなる。

 グリエルとともに進塁したタッカーは、グリエルのスタートを見ていないはずだ。これは、三塁コーチのオマー・ロペスのファイン・プレーだろう。数日前まで、ロペスは一塁コーチを務めていたが、三塁コーチのゲリー・ペティスが新型コロナウイルスに感染したのに伴い、配置転換された。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

宇根夏樹の最近の記事