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本塁打王を争うゲレーロJr.と大谷とペレスは、それぞれ「新記録」もかかっている

宇根夏樹ベースボール・ライター
大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス)Sep 12, 2021(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 9月14日、ブラディミール・ゲレーロJr.(トロント・ブルージェイズ)と大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス)は、どちらも4打数0安打に終わった(大谷は1四球)。一方、サルバドール・ペレス(カンザスシティ・ロイヤルズ)は、5打数2安打。三振、シングル・ヒット、センター・フライの後、6回裏に逆転3ラン本塁打を打った(5打席目はレフト・フライ)。この日を終え、ゲレーロJr.と大谷のシーズン本塁打は、45本と44本のまま。ペレスは43本だ。

 ア・リーグの本塁打王を争うこの3人は、あと数本のホームランを積み上げると、それぞれ違うシーズン本塁打の新記録を打ち立てる。

 大谷の場合は、エンジェルスの球団記録、2000年にトロイ・グロスが打った47本に近づいている。現時点の大谷は、2019年のマイク・トラウト(45本)に次ぎ、球団3位に位置する。あと3本でグロスに並び、さらにもう1本打てば、新記録となる。

 21年前のグロスは、フランク・トーマスジェイソン・ジアンビに4本差をつけ、本塁打王を獲得した。2年前のトラウトは、9月5日に45本目のホームランを打ち、この時点では2位のホルヘ・ソレーア(当時ロイヤルズ/現アトランタ・ブレーブス)を5本引き離していた。だが、右足のモートン神経腫により、9月8日以降の試合をすべて欠場し、ソレーアと3本差の2位に終わった。

 ペレスが迫っているのは、捕手のシーズン最多だ。こちらは、1970年にジョニー・ベンチが打った45本が最も多い。現時点のペレスは2位タイ。2003年のハビー・ロペスと並んでいる。ペレスの43本中14本はDHとして打ったホームランだが、出場試合の75%以上で捕手を務めているので、ここからDHに専念しない限り、この記録の対象となるはずだ。1970年のベンチはナ・リーグの本塁打王となり、2003年のロペスはナ・リーグ4位タイだった。他に、捕手の本塁打王は、1972年に40本のベンチしかいない。

 ペレスは、2年前にソレーアが樹立したロイヤルズの球団記録を更新する可能性もある。こちらも、現時点では2位に位置する。ロイヤルズでシーズン40本以上は、この2人だけだ。

 ゲレーロJr.は、同名の父が2000年に記録したシーズン自己最多を、すでに1本上回った。ここから、あと3本打って48本とすると、1953年のナ・リーグ本塁打王、エディ・マシューズを抜き、22歳以下の新記録となる。もっとも、マシューズが47本のホームランを打ったのは、21歳の時だ。また、ブルージェイズの球団記録は、2010年にホゼ・バティスタが打った54本――こちらも本塁打王を獲得した――なので、更新は不可能ではないものの、大谷とペレスが迫る球団記録と比べると、ハードルは高い。

 なお、3人には少し離されたが、39本のマーカス・シミエン(ブルージェイズ)も、新記録のチャンスがある。二塁手のシーズン最多は、1973年にデービー・ジョンソンが記録した43本だ。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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