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夏のトレードでこのチームが外野手を4人も獲得した理由。いずれもシーズン30本塁打以上の実績あり

宇根夏樹ベースボール・ライター
アダム・デュボール(アトランタ・ブレーブス)Jul 30, 2021(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 この夏、アトランタ・ブレーブスは、4人の外野手を獲得した。7月15日にシカゴ・カブスからジョク・ピーダーソンを得たのに続き、そこから半月後のトレード・デッドラインに3人、アダム・デュボールホルヘ・ソレーアエディ・ロザリオを、それぞれ、マイアミ・マーリンズ、カンザスシティ・ロイヤルズ、クリーブランド・インディアンズから手に入れた。年齢は、デュボールが32歳、他の3人は29歳。ピーダーソンとロザリオは左打者、デュボールとソレーアは右打者だ。

 開幕当初の外野トリオは、左から右へ、マーセル・オズーナクリスチャン・パチェロナルド・アクーニャJr.だった。前年の本塁打王&打点王とトップ・プロスペクト、2019年に40-40まで3盗塁に迫った23歳だ。控えには、2016~18年に3年連続ゴールドグラブのエンダー・インシアーテがいた。

 オズーナは、5月25日に三塁へ滑り込んだ際、左手の中指と薬指を骨折し、その数日後には、妻に対するDVによって逮捕された。釈放はされたものの、故障者リストには今も入ったままだ。パチェは、5月13日に右の太腿裏を痛め、故障者リスト入りを経て、6月からはAAAでプレーしている。降格前はほとんど打てず、出塁率ですら.152に過ぎなかった。アクーニャJr.は、これまでに勝るとも劣らない活躍をしていたが、7月10日にジャンピング・キャッチを試み、右膝の前十字靱帯を断裂。来シーズンまで復帰できない。

 インシアーテだけでなく、パチェに代わってセンターに入ったギレルモ・ヘレディアも、代役としての役割を果たすには至っていない。7月29日、ブレーブスはインシアーテを解雇した。

 大物の外野手を1人、例えば、ジョーイ・ギャロ(テキサス・レンジャーズ→ニューヨーク・ヤンキース)を加えただけでは、外野陣の再編成には足りない。ピーダーソンなら、なおさらだ。また、加入した外野手が1人の場合、その選手が故障に見舞われて長期離脱すると、プラスはゼロになる。そこで、何人もの外野手を獲得することにしたのだろう。

 ブレーブスが手に入れた外野手のうち、移籍前に15本塁打以上は、22本のデュボールしかいない。けれども、4人とも、過去にシーズン30本塁打以上の実績がある。デュボールは2016年と2017年に33本と31本、3人は2019年に30本以上だ。ソレーアはア・リーグ最多の48本塁打を記録し、ピーダーソンとロザリオはそれぞれ36本と32本のホームランを打った。

 7月31日と8月3日は、左から右へ、デュボール、ピーダーソン、ソレーアが、外野トリオを形成した。8月1日は、デュボール、ヘレディア、ソレーアの3人だ(8月2日はオフ)。ロザリオは7月上旬に右の腹部を痛め、移籍してからも欠場が続いている。復帰に際してはエイブラハム・アルモンテと入れ替わり、ブレーブスの外野陣は、途中加入の4人とヘレディアの、5人体制となりそうだ。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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