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代走出場でホームインした日本人投手は、前田健太が何人目!? サヨナラの得点は初

宇根夏樹ベースボール・ライター
前田健太(ミネソタ・ツインズ)Jul 26, 2021(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 7月26日、前田健太(ミネソタ・ツインズ)は、サヨナラのホームを踏んだ。

 9回表に同点とされたツインズは、その裏に3四球で2死満塁としたものの、代打のウィリアンズ・アスタディーヨが三振。10回表は、アスタティーヨと交代する形で登板したケイレブ・シールバーが、3人で終わらせた。そして、迎えた10回裏。前田はイニング開始時の二塁走者として、シールバーに代わって出場した。昨シーズンから――おそらく今シーズンまで――延長戦ではタイブレイクが採用されていて、どのイニングも無死二塁からスタートする。

 最初の2人が討ち取られ、3人目が四球を選んだ後、マックス・ケプラーのヒットで、前田は二塁から生還した。センターがワンバウンドした打球をグラブに収めたが、2死だったため、前田は打った瞬間にスタートを切っていて、滑り込むことなく本塁に達した(写真)。

 日本人投手が代走として起用されるのは、大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス)の1度(2020年9月12日)を除くと、これが7度目だ。野茂英雄が1度、大家友和が2度、前田が4度。そのうち、ホームインしたのは4度。大家と前田が2度ずつだ。野茂の場合は、1死一塁の場面で出場し、2死一、二塁となったところで、野手のジェフ・ジェンキンスと交代した。ジェンキンスはホームインできず、イニングは終わった。

 大家の1度目は、ヒット2本でそれぞれ、一塁→二塁、二塁→三塁と進み、ブラディミール・ゲレーロの二塁打で生還した。2度目は、1死一、二塁の場面で二塁走者と交代。ヒットで三塁へ進んだ後、死球によって押し出された。前田が最初に生還したのは、2016年7月31日だ。二塁打で三塁へ進み、ホームランでホームインした。

筆者作成
筆者作成

 代走として出場し、二塁から一気に生還した日本人投手は、今回の前田が初めてとなる。延長戦で代走出場の日本人投手も、代走出場でサヨナラのホームを踏んだ日本人投手も、これまではいなかった。

 さらにもう一つ、今回の前田には、過去の日本人投手の代走出場とは違う点があった。野茂、大家の2度、前田の3度目までは、いずれも、先発登板の翌日あるいは翌々日に代走として起用されている。次の登板までは間があった。それに対し、前田の4度目は、先発登板の4日後だ。代走出場の翌日、前田は先発マウンドに上がり、6.1イニングを投げて1失点に抑えた。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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