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防御率9点台でもエンジェルスは手放すべきではなかった!? 獲得前は1点台、放出後は10登板とも無失点

宇根夏樹ベースボール・ライター
ハンター・ストリックランド(ミルウォーキー・ブルワーズ)Jul 7, 2021(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 今シーズン、ハンター・ストリックランドは、すでに3チームで投げている。5月15日にタンパベイ・レイズからロサンゼルス・エンジェルスへ移り、6月12日にエンジェルスからミルウォーキー・ブルワーズへ移籍した。どちらもトレード。金銭と交換された。

 それぞれのチームにおけるストリックランドは、ジキルとハイドとジキルのようだ。レイズでは13登板の計16.0イニングで防御率1.69、エンジェルスでは9登板の計6.1イニングで防御率9.95、ブルワーズでは10登板の計11.1イニングで防御率0.00。3チームのうち、エンジェルスだけが貧乏籤を引いたような格好になっている。

筆者作成
筆者作成

 ストリックランドの投球は、4シーム(速球)とスライダーの2球種が、全体の90%前後を占める。ピッチ・インフォのデータによると、エンジェルスで投げていた期間は、4シームが65.1%、スライダーは32.6%だった。一方、レイズでは55.1%と39.9%、ブルワーズでは42.3%と46.4%(とシンカーが9.5%)だ。

 この割合の違いが、エンジェルスで打ち込まれ、その前後の2チームで好投している理由なのかどうかを判断するには、サンプル数が少なすぎる気もするが、エンジェルスで投げていた時の割合は、4シームの平均球速が90マイル台後半だった数年前までのそれに近い。今シーズンの平均球速は約95マイル。これは、どのチームでもほとんど変わらない。

 なお、最初のトレードと、エンジェルスがストリックランドを見限った経緯については、「防御率1点台のリリーフ投手が移籍。エンジェルスが獲得した理由はわかるが、レイズはなぜ放出したのか」「移籍前は「防御率1点台」の投手が、新天地では「防御率9点台」。1ヵ月経たずにロースターから外される」で書いた。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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