めざすは「投手王国」!? エンジェルスが今年のドラフトで指名した選手は、投手が20人、野手はゼロ
今年のドラフトで、ロサンゼルス・エンジェルスは、野手を一人も指名しなかった。1巡目・全体9位のサム・バックマン(マイアミ大)から20巡目・全体591位のマーセロ・ペレス(テキサス・クリスチャン大)まで、20人とも投手を指名した。右投手が14人、左投手は6人。12巡目・全体351位のメイソン・オルブライト(IMGアカデミー)以外は、いずれも大学生(4年制)だ。
1球団の指名が全員投手というのは、初めてのことではない。2球団目だ。昨年のマイアミ・マーリンズも、投手ばかりを指名した。ただ、昨年のドラフトは5巡目までしかなく、マーリンズが持っていた指名権は6つだった。
2012年以降、エンジェルスのチーム防御率は、リーグ5位以内に入ったことがない。なかでも、ここ3年は数値も高く、2019年が5.12(12位)、2020年が5.09(13位)、今シーズンの前半戦は4.90(12位)だ。また、2014年にギャレット・リチャーズ(現ボストン・レッドソックス)がリーグ5位の防御率2.61を記録したのを最後に、防御率トップ5にランクインしたエンジェルスの投手はいない。加えて、現在のエンジェルスに、目を惹くようなトップ・プロスペクトの投手は皆無だ。
2018年と2019年のドラフトで、エンジェルスが最初に指名した20人は、どちらも投手が4分の3以上を占めた(昨年は投手と野手が2人ずつだが、これはサンプル数が少ない)。昨オフ、GMに就任したペリー・ミナシアンが、その方向性をさらに推し進めたということかもしれない。あるいは、狙っていた野手(あるいは野手たち)はいたものの、先に指名されてしまったのだろうか。エンジェルスに最初の指名順位が巡ってくる前に、他球団が指名した8人は、野手5人と投手3人だった。
いずれにせよ、今年のドラフトで指名した投手たちのなかから、将来、2人あるいは3人がローテーションに揃い踏みすれば、この指名は成功と看做すことができるだろう。来月に30歳となるマイク・トラウトの全盛期に間に合うかどうかはわからないが、エンジェルスがトラウトと交わしている12年4億2650万ドルの契約は、2030年まで続く。