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大谷翔平の「40試合で14本塁打」は球団史上3位。1位と2位はシーズン全体で何本打った!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス)May 18, 2021(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 今シーズン、大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス)は、14本のホームランを打っている。これは、両リーグ単独トップだ。

 ESPNスタッツ&インフォによると、打者としてシーズン40試合に出場した時点で14本塁打は、エンジェルス史上3位タイ。それよりも多いのは、2020年に16本塁打のマイク・トラウトと1986年に15本塁打のウォーリー・ジョイナーだけだという。

 ただ、この2人とも、シーズン全体のホームランは、25本に届かなかった。トラウトは17本塁打、ジョイナーは22本塁打だ。

 トラウトの場合、最大の理由は、新型コロナウイルスのパンデミックにある。16本目のホームランを打ったのは、エンジェルスの45試合目。60試合に短縮されたレギュラーシーズンの4分の3が終わり、あと15試合しか残っていなかった。トラウト自身も調子を落とし、出場41試合目からは12試合続けてホームランが出ず、シーズン最後の出場となった13試合目に17本目を記録した。

 一方、ジョイナーは、このシーズンがメジャーリーグ1年目だった。最初の出場36試合で15本塁打に対し、その後の出場118試合は7本塁打にとどまった。もっとも、そのまま一発屋として消えていったわけではない。翌年は34本塁打を記録。通算の204本塁打と409二塁打が示すとおり、ロング・ヒッターではなかったが、2001年まで16シーズンにわたってプレーした。

 ちなみに、1986年のジョイナーも、全米で話題を呼んだ。その打棒に加え、5月上旬にファンが球場で掲げた「ウォーリー・ワールド」のボードも、火をつけた。ボードの由来はこうだ。この3年前に公開された映画「ナショナル・ランプーンズ・ホリデイ(邦題:ホリデーロード4000キロ)」で、主人公の一家は、南カリフォルニアにあるアミューズメント・パーク、ウォーリー・ワールドをめざして出発する。エンジェルスの本拠地もディズニーランドも、カリフォルニア州アナハイムにある。そして、ジョイナーのファーストネームは、ウォーリーだ。

 スポーツ・イラストレイテッドは、5月下旬に「ザ・ワンダフル・ワールド・オブ・ウォーリー」と題した、クレイグ・ネフの記事を掲載した。日本語に訳すなら「ウォーリーの素晴らしき世界」といったところだろうか。その序文には「ウーキー、いや、ルーキーのウォーリー・ジョイナーはアメリカン・リーグをアミューズメント・パークに変え、そのパワーでエンジェルスを牽引している」とある。この年、エンジェルスは地区優勝を飾った。

 なお、エンジェルスのシーズン本塁打トップ5は、1位が47本のトロイ・グロス(2000年)、2位が45本のトラウト(2019年)、3位タイが41本のグロス(2001年)とトラウト(2015年)、5位は40本のアルバート・プーホルス(2015年/現ロサンゼルス・ドジャース)だ。1961年の創設以来、シーズン50本塁打に達した選手はいない。本塁打王は、2000年のグロスが最後。他には、1981年に22本のボビー・グリッチと1982年に39本のレジー・ジャクソンしか獲得していない。3人のうち、グリッチとレジーは、他の選手とタイトルを分け合った。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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