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プーホルスと契約する球団が、あるとすればどこ!? 本人は現役続行を希望

宇根夏樹ベースボール・ライター
アルバート・プーホルスとトニー・ラルーサ(手前) Mar 1, 2021(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 5月6日、アルバート・プーホルスは、ロサンゼルス・エンジェルスの40人ロースターから外れた。まず間違いなく、プーホルスはこのままエンジェルスを退団する。

 今シーズンのプーホルスは、24試合に出場し、打率.198、出塁率.250、5本塁打を記録している。二塁打と三塁打は打っていない。41歳の年齢は、今シーズン、メジャーリーグの試合に出場した選手の最年長だ。リッチ・ヒル(タンパベイ・レイズ)も同じく41歳だが、生まれたのはプーホルスより2ヵ月遅い。

 ロサンゼルス・タイムズのビル・シェイキンによると、プーホルスはプレーを続けたいと考えているという。

 けれども、DHのないナ・リーグの球団が、契約に動くことは考えにくい。

 エンジェルスを除くア・リーグの14球団中、シカゴ・ホワイトソックスは、2人の打者を欠いている。開幕直前に左の胸筋を痛めたイーロイ・ヒメネスは、復帰できるとしても8月以降の見込みだ。5月2日に右の腰を痛めたルイス・ロバートは、復帰まで12~16週間かかる。また、ホワイトソックスのトニー・ラルーサ監督は、1996年から2011年まで、セントルイス・カーディナルスで采配を振った。2001年にカーディナルスからデビューしたプーホルスは、11シーズンにわたってラルーサ監督の下でプレーした。2人は、今シーズンの開幕カードで顔を合わせ、プーホルスは2試合目にホームランを打った。その2打席後、ラルーサ監督はプーホルスとの勝負を避け、敬遠四球で歩かせた。

 ただ、ヒメネスもロバートも、プーホルスと同じ右打者とはいえ、プーホルスが一塁手であるのに対し、2人は外野手だ。ホワイトソックスの一塁にはホゼ・アブレイユ、DHにはヤミーン・マルセイディスがいる。昨シーズンのMVPと売り出し中のルーキーだ。アブレイユとマルセイディスも右打者なので、こちらの場合、プーホルスはかぶってしまう。なお、マルセイディス――日本ではメルセデスと表記されることが多い――については、先月下旬に「大谷翔平を凌ぐ二刀流の強打者現る!? 打率4割&4本塁打の「ヤミーネーター」がDH解除でマウンドへ」で書いた。

 プーホルスがフィットするのは、一塁かDH、あるいはその両方がオフェンスの穴となっている球団だ。例えば、タンパベイ・レイズのポジション別OPSは、一塁が.600、DHは.653だ。しかも、レイズで一塁手としての先発出場が最も多いヤンディ・ディアズと、一塁出場もDH出場もそれぞれ2番目に多い筒香嘉智は、代打や他のポジションで出場した試合を含めても、今シーズン、1本もホームランを打っていない。

 なお、一塁とDHのどちらもOPS.700未満は、デトロイト・タイガースもそうだ。タイガースの数値は、どちらもレイズよりも低い。もっとも、開幕前の予想どおりに低迷し、すでに10以上の借金を抱えているタイガースが、ここから今秋のポストシーズンをめざして選手を加えるとは思えない。タイガースがプーホルスを迎え入れるとすれば、客寄せパンダ、さしずめ、ミゲル・カブレラとのビックネーム・デュオとしてだろう。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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