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開幕早々の契約延長。アストロズがベテラン捕手と「来シーズンの契約」を交わした理由は…

宇根夏樹ベースボール・ライター
マーティン・マルドナード(ヒューストン・アストロズ)Apr 1, 2021(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 4月21日、ヒューストン・アストロズは、マーティン・マルドナードと1年550万ドルの延長契約を交わした。この約1週間前に、MLB.comのマーク・フェインサンドが報じていたとおりになった。

 今シーズンではなく、来シーズンの契約だ。現時点のマルドナードは、2年700万ドルの2年目。今シーズンが終わると、FAになる予定だった。新たな契約の内訳は、はっきりしない部分もあるものの、ESPNのオールデン・ゴンザレスらによると、2022年が年俸500万ドル、2023年は同額のオプションで解約金が50万ドル。今シーズン、90試合以上に出場すると、2023年の年俸500万ドルも確定するという。

 開幕早々の契約延長は、まとまるのが少し遅れたのだろう。開幕を迎える前から、交渉を行っていたと思われる。

 ここまで、マルドナードは、ジェイソン・カストロとスタメンマスクを分け合っている。それぞれの年齢は、34歳と33歳。カストロの契約も2年700万ドルながら、こちらは今シーズンが1年目だ。マルドナードの契約延長により、アストロズは、来シーズンも同じ捕手2人で臨むことが確定した。

 マルドナードもカストロも、不動の正捕手にはやや物足りないとはいえ、控えとするにはもったいない力量を持つ。2人合わせて年俸1000万ドル未満なら、高くはない。

 今シーズンの終了とともに、アストロズからは、先発投手のジャスティン・バーランダーザック・グレインキー、遊撃手のカルロス・コレイアがFAになる。バーランダーは38歳と高齢な上、昨年9月にトミー・ジョン手術を受けたが、37歳のグレインキーは今シーズンも健在。開幕投手を務め、4登板で防御率2.81を記録している。コレイアはまだ26歳だ。この3人のうち2人と再契約を交わす、あるいは彼らに代わるFAを手に入れようとすれば、かなりの大枚が必要になる。アストロズはそう金をかけずに捕手を確保したので、その分、資金をこちらに回すことができる。

 一方、バーランダーとグレインキーだけでなく、FAとなった大物の先発投手には手を出さず、投手陣の若返りを図る場合――可能性としては、こちらの方が高そう――ベテランの捕手は、若い投手を導く存在となる。特に、マルドナードは、リードとディフェンスに長けている。

 また、カストロが左打者であるのに対し、マルドナードは右打者だ。マルドナードの打撃は期待できないものの、この点でも、マルドナード&カストロは理に適う。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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