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二世メジャーリーガーのホームランは「両親が出逢った思い出の場所」まで飛んでいった

宇根夏樹ベースボール・ライター
ボー・ビシェット(トロント・ブルージェイズ)Apr 13, 2021(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 4月20日、ボー・ビシェット(トロント・ブルージェイズ)のバットが捉えたボールは、高々と上がり、レフトのグリーンモンスターどころかスタンドも越え、フェンウェイ・パークの場外へ消えていった。

 そのボールが行き着いたのは、ランズドーン・ストリートに面し、フェンウェイ・パークとは反対側に建つビルの前だ。このビルには、かつてゴールドジムがあった。

 ボストン・レッドソックスのアナウンサー、ジョー・カステグリオーネが語った話によると、ボーの両親は、このジムで出逢った。1991年のことだ。当時、ミルウォーキー・ブルワーズの選手だったダンテ・ビシェットは、ボストン遠征の際にジムを訪れ、そこで、ボーの母となるマリアナと知り合ったという。ボーが生まれたのは1998年だ。なお、ボーには、1992年に生まれたダンテ・ビシェットJr.という兄がいる。こちらは、2011年から2019年までマイナーリーグや独立リーグでプレーした。

 狙っていたのかどうかは不明ながら、ボーがフェンウェイ・パークで打ったホームランは、昨年の8月9日に続き、これが2本目だ。最初の1本は、左方向ではなく、右方向。レッドソックスのブルペンに飛び込んだ。

 ボーの父は、フェンウェイ・パークで14本塁打を記録している。1991~92年のブルワーズ時代に3本、2000~01年のレッドソックス時代に11本だ。メジャーリーガーとしての最後の2シーズンを、ボーの父はレッドソックスで過ごした。ちなみに、全盛期は1993~99年のコロラド・ロッキーズ時代だ。7シーズンに201本のホームランを打ち、彼とともに、アンドレス・ガララーガビニー・キャスティーヤラリー・ウォーカーらが並ぶ打線は、クアーズ・フィールドが位置する通りの名前から「ブレイク・ストリート・ボンバーズ」と呼ばれた。

 もっとも、ボーの父に限らず、ブレイク・ストリートにホームランを打ち込んだ選手はいない。そもそも、この通りは一塁側のファウル・ラインと平行に走っているので、ボールがそこへ飛んでいっても(飛んでいくことはまずないだろうが)フェアにはならない。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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