ヤンキースにシーズン初勝利をもたらしたスラッガーが引退。通算本塁打は319本
ニューヨーク・ヤンキースでプレーしていたジェイ・ブルースが、引退を発表した。
今年2月、ブルースはヤンキースとマイナーリーグ契約を交わし、エキシビション・ゲームで思うような結果は残せなかったものの、左膝を痛めたルーク・ボイドに代わる一塁手として、開幕ロースターに入った。そして、開幕2試合目の6回裏に、満塁の場面で2者を生還させた。レフトとセンターと遊撃手の間に落ちるヒットながら(写真)、これによってヤンキースのリードは1点から3点に広がった。直後に1点を返されただけに、ヤンキースにシーズン初勝利をもたらしたと言っても過言ではない。前々日の開幕戦に、ヤンキースは敗れていた。2試合目の4月3日は、ブルースにとって34歳の誕生日でもあった。
だが、本来の外野ではなく一塁を守る影響もあったのか、調子は一向に上がらず、その後の8試合は27打数3安打、ホームランと二塁打と単打を1本ずつしか打てなかった。二塁手のルーグネット・オドーアがテキサス・レンジャーズから加入後は、二塁を守っていたDJ・ラメイヒューが一塁に回り、ブルースの出場機会は減りつつあった。
シーズン序盤の引退は、唐突で寂しい幕切れのような気もする。また、2005年にドラフト全体12位でシンシナティ・レッズに入団し、2008年のメジャーデビュー直前には、ベースボール・アメリカとベースボール・プロスペクタスのプロスペクト・ランキングで全体1位に挙げられたものの、殿堂入りするほどのキャリアは築けなかった。
とはいえ、14シーズン中、30本塁打以上は5度を数え、20本に届かなかったのは昨シーズンと今シーズンを含めて4度しかない。6チームで記録した計319本塁打は、2008年以降では5番目の多さだ。出塁率.350以上のシーズンは1度きりだが、発揮したのはパワーだけではなく、外野手として104補殺と20併殺は、このスパンの2位と8位タイに位置する。
2010年にレッズが15年ぶりのポストシーズン進出を果たした時、それを決めたのはブルースのサヨナラ本塁打だ。2017年にクリーブランド・インディアンズが22連勝――ニューヨーク・ジャイアンツ(1916年)の26連勝に次ぐストリーク――を記録した時、22勝目を決めたのはブルースのサヨナラ二塁打だった。