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試合中に解説者の電話が鳴る。呼び出しの理由は「愛猫の緊急事態」!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
左から、B.ハレルソン、R.スターブ、K.ヘルナンデス 01 Aug 2010(写真:Shutterstock/アフロ)

 4月6日、SNY(スポーツネット・ニューヨーク)が試合を放送している最中に、軽やかなチャイムの音が響いた。場面は、0対0の4回表、無死一塁。マウンドにはチェイス・アンダーソン(フィラデルフィア・フィリーズ)、打席にはドミニク・スミス(ニューヨーク・メッツ)がいた。

「何の音かな?」とアナウンサーのゲリー・コーエン。それに対し、隣にいたキース・ヘルナンデスが説明を始めた。鳴ったのは、キースのiPadだ。着信音をオフにしていなかった。キースは、1980年代にメッツで一塁手としてプレーした。その前のセントルイス・カーディナルス時代を含め、ゴールドグラブを11度受賞している。

 キース曰く、「家でちょっとしたエマージェンシーが起きた」。キースの猫に餌をあげるために訪れた女性が、ドアを開けようとして間違った鍵を差し込んでしまい、それが抜けなくなったという。「今晩、家に入れるどうかわからないな」とキースは笑った。

 その直後に、スミスはホームランを打った。メッツの今シーズン初本塁打だ。だが、視聴者のなかには、猫のことが気になって、それどころではなかった人もいたのではないだろうか。キースの猫は、ニューヨーク・タイムズやGQで取り上げられたこともある。名前はハッジ。18歳のベンガルだ。

 次のイニング、5回表に新たな情報が伝えられた。キースの別の友人が、鍵を開ける業者と一緒にやってきて、女性は家に入ることができたという。

 この4日前には、コロラド・ロッキーズの本拠地、クアーズ・フィールドに猫が現れた。それについては、こちらで書いた。

フィールドを駆け回ったのは、選手ではなく…猫だった

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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