ボストン・レッドソックスの本拠地、フェンウェイ・パークのすぐそばに、青い看板広告が登場した。そこには「ムーキー・ベッツをありがとう」と記されている。

　この広告を出したのは、ロサンゼルス・ドジャースのファンである「Pantone 294」というグループだ。グループの名称は、ドジャーブルーの色番号に由来する。印刷物などの色を指定する時に使う番号だ。

　昨年２月、レッドソックスは、ムーキー・ベッツとデビッド・プライスをドジャースへ放出した。プライスは新型コロナウイルス感染のリスクを考慮し、開幕前に全休を選択したが、ベッツは移籍前と遜色ない成績を残した。ドジャースが王手をかけて臨んだワールドシリーズ第６戦には、８回裏にホームランを打ち、リードを１点から２点に広げた（上の写真はその直後）。ドジャースは９回表を３人で終わらせ、32年ぶりにワールドチャンピオンとなった。

　2018年のワールドシリーズで、ドジャースはベッツのいたレッドソックスに敗れている。ただ、広告は純粋に感謝の気持ちだという。Pantone 294の代表者は「からかう気はない」とESPNに語っている。

　過去にも、レッドソックスは他チームのファンに感謝されたことがある。2012年６月にレッドソックスがケビン・ユーキリスをシカゴ・ホワイトソックスにトレードした直後、バラク・オバマ大統領（当時）はボストンの集会で「ユーキリスをくれてありがとう」と発言した。よく知られているように、オバマはホワイトソックスのファンだ。

　もっとも、ユーキリスは移籍前を上回る好成績ながら、ホワイトソックスは地区首位と３ゲーム差の２位に終わり、ワイルドカードもゲットできなかった。この２年後、ユーキリスは東北楽天ゴールデンイーグルスでプレーした。

　今年２月、レッドソックスは、かつてベッツとともに外野を守っていたアンドルー・ベニンテンディをカンザスシティ・ロイヤルズへ放出した（残る１人のジャッキー・ブラッドリーJr.はミルウォーキー・ブルワーズへ移籍したが、ＦＡとなって退団したので、レッドソックスが放出したわけではない）。

　ベッツと同じように、ベニンテンディがロイヤルズをワールドチャンピオンに導く活躍をすれば……。ドジャーブルーに続いて、ロイヤルブルーの看板広告が登場するかもしれない。