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前・阪神のボーアと契約したジャイアンツの「一塁手事情」

宇根夏樹ベースボール・ライター
ジャスティン・ボーア Jul 2, 2019(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 阪神タイガースを退団したジャスティン・ボーアが、サンフランシスコ・ジャイアンツとマイナーリーグ契約を交わし、メジャーリーグ復帰をめざすようだ。KNBRのマーク・W.サンチェスや、サンフランシスコ・クロニクルのジョン・シェイが報じている。KNBRは、サンフランシスコのラジオ局だ。

 ジャイアンツの一塁には、ブランドン・ベルトがいる。メジャーリーグ10年目だった昨シーズンは、51試合で打率.309と出塁率.425、9本塁打と13二塁打を記録した。ボーアと同じ左打者だ。

 ただ、ベルトは昨年10月に右足の踵から骨棘を取り除く手術を受け、今シーズンの開幕には間に合わない可能性が高い。3年1875万ドルで入団したトミー・ラステラ――こちらも左打者――は一塁も守れるが、本職は二塁と三塁だ。現時点では、三塁手として、右打者のエバン・ロンゴリアとのプラトーン起用がメインになると思われる。

 また、他の一塁候補、ウィルマー・フローレスダリン・ラフは、どちらも右打者だ。

 ベルト(がいない間)の穴を埋める左打ちの一塁手として、ジャイアンツはボーアと契約したのだろう。もっとも、あくまでも、そうなり得るという話だ。ボーアがいなくても、ベルトが戻ってくるまで、右打者だけでしのぐという手もある。ボーアがロースターに入るには、ここから結果が必要になる。

 過去に、ボーアはゲーブ・キャプラー監督の下でプレーしたことがある。キャプラーは、2018~19年にフィラデルフィア・フィリーズの監督を務め、昨シーズンからジャイアンツで采配を振っている。2018年の夏にマイアミ・マーリンズからフィリーズへ移ったボーアは、そこでキャプラー監督に起用され、29試合で1本塁打に終わった。

 なお、ラフは2017~19年に韓国でプレーした後、昨年1月にジャイアンツとマイナーリーグ契約を交わし、4年ぶりのメジャーリーグ復帰を果たした。

 ボーアと同じように、昨シーズンは日本プロ野球でプレーし、現在はメジャーリーグ復帰(あるいはメジャーデビュー)を試みている選手については、こちらで書いた。

NPBを去り、MLB復帰orデビューをめざす選手たち。有原とパットンはレンジャーズへ。パーラは古巣へ

【追記:3/7】

 この記事を掲載後に、新たな情報が入った。ボーアは4月1日に、マイナーリーグのスプリング・トレーニングに合流する。同じ日に、メジャーリーグは開幕を迎える(マイナーリーグの開幕は5月の予定)。従って、ボーアが開幕ロースターに入ることはない。途中昇格はあり得るが、ベルトの動向と彼が出遅れた場合に一塁を守る選手のパフォーマンス次第で、そのチャンスは増減しそうだ。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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