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1度のポストシーズンで7本塁打以上の選手はワールドシリーズで優勝したのか。アロザレイナは最多まで1本

宇根夏樹ベースボール・ライター
ランディ・アロザレイナ/捕手はマーティン・マルドナード Oct 17, 2020(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 ランディ・アロザレイナ(タンパベイ・レイズ)は、リーグ・チャンピオンシップ・シリーズの第7戦もホームランを打った(写真)。これで、今年のポストシーズンの本塁打は7本。1度のポストシーズンの最多記録まで、1本に迫っている。レイズはワールドシリーズへ進む――アロザレイナはリーグ・チャンピオンシップ・シリーズのMVPを受賞した――ので、少なくともあと4試合を行う。

 1度のポストシーズンで7本以上のホームランを打った選手は、アロザレイナが9人目だ。これまでの8人中、2002年のバリー・ボンズと2004年のカルロス・ベルトラン、2011年のネルソン・クルーズ(現ミネソタ・ツインズ)は、8本塁打を記録した。

筆者作成
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 ただ、その年のワールドシリーズで優勝したのは、2002年のトロイ・グロスと2017年のホゼ・アルトゥーベ(ヒューストン・アストロズ)しかいない。ベルトランに至っては、アストロズがリーグ・チャンピオンシップ・シリーズの第7戦に敗れ、この年はワールドシリーズの舞台に立つことなく終わった。

 しかも、ポストシーズンで7本のホームランを打ち、その年のワールドシリーズで優勝したグロスとアルトゥーベには、まったく意味合いは違うものの、いずれも注釈がつく。

 グロスが7本塁打、ボンズは8本塁打を記録したのは、どちらも2002年だ。それぞれが在籍していたアナハイム・エンジェルスとサンフランシスコ・ジャイアンツは、ワールドシリーズで対戦した。このシリーズが始まった時点の2人は4本塁打ずつだったが、どちらか一方がワールドシリーズで優勝すること――もう一方が敗れること――は最初から決まっていた。アルトゥーベの場合、2017年のアストロズは相手バッテリーのサインを盗んでいた。

 もっとも、アロザレイナ(とレイズ)がここからワールドシリーズで優勝できるかどうかは、また別の話だ。

 ここまでのアロザレイナは、14試合中7試合でホームランを打っているだけではない。ホームランがなかったワイルドカード・シリーズの2試合も、長打は二塁打2本と三塁打1本。ポストシーズン全体の打率も.382(55打数21安打)と高く、ノーヒットの試合は、ディビジョン・シリーズの第4戦と第5戦、リーグ・チャンピオンシップ・シリーズの第6戦だけだ。この3試合のうち、ディビジョン・シリーズの第5戦に打ったレフト・フライは、ブレット・ガードナー(ニューヨーク・ヤンキース)がいなければ、スタンドに入っていた。

 アロザレイナが塗り替える、あるいはトップに肩を並べるポストシーズンの記録は、ホームランにとどまらないかもしれない。例えば、1度のポストシーズンの最多安打は26本、塁打は50だ。前者はあと5本、後者はあと3で最多に並ぶ。ホームランが1本出れば、塁打は4なので、それだけで最多記録を更新する、

 ちなみに、26安打は2014年にパブロ・サンドバル(現アトランタ・ブレーブス)、50塁打は2011年にデビッド・フリーズが記録した。この2人は、いずれもその年のワールドシリーズで優勝している。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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