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本塁打を打った選手がホームインの際に「退場」させられる。その理由は…

宇根夏樹ベースボール・ライター
ジョシュ・ドーナルソン(ミネソタ・ツインズ)Sep 17, 2020(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 9月17日、ジョシュ・ドーナルソン(ミネソタ・ツインズ)は、2対2の同点で迎えた6回表に、レフトのポール際へホームランを打った。ところが、ダイヤモンドを回ってホームへ戻ってきたドーナルソンは、そこで退場となった。

 ドーナルソンは、ホームインの直前に足でベースに砂をかけた。これは、球審に対する侮辱行為だ。通り過ぎたドーナルソンに対し、球審は退場を宣告。戻ってきてベースを踏み直したドーナルソンは、再び足でベースに砂をかぶせた後、球審に何か言いながらダグアウトへ戻っていった。

 ホームランの1球前、ドーナルソンはストライクの判定に納得できず、球審に文句をつけた。もちろん、判定は覆らない。ホームランを打っても、ドーナルソンの気持ちは収まらなかったようだ。

 最初に砂をかけた時は、ベースを踏んでいないように見える。戻ったことからすると、ドーナルソンもそう思ったのだろう。だとすれば、退場はホームインの前だが、得点は認められた。

 ただ、ツインズは7回裏に逆転され、3対4でシカゴ・ホワイトソックスに敗れた。ドーナルソンに代わって出場したエイレイ・アドリアンザは、8回表の打席で三振に仕留められた。

 ドーナルソンの退場は、ツインズにとって高くついた、という見方もできる。ア・リーグ中地区2位のツインズは、首位のホワイトソックスを追っている。この日の黒星により、その差は2ゲームから3ゲームに広がった。

 なお、ベースボール・アナリストのライアン・M・スピーダーによると、ホームランを打った直後に退場となった選手は、1978年5月27日のテッド・シモンズ以来だという。この時も、理由はドーナルソンと同様。シモンズはベースに砂をかけたのではなく、ヘルメットを球審に向かって振り、「これでも喰らえ」と言ったらしい。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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