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敗戦目前の「最終回」に3度追いついて、最後はサヨナラ。これ以上の粘り勝ちは過去にあった!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
中央がドノバン・ソラーノ August 25, 2020(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 8月25日、サンフランシスコ・ジャイアンツは、あと2アウトで敗戦のところまで、3度追い込まれた。

 9回裏を迎えた時点のスコアは、5対6。ロサンゼルス・ドジャースに1点リードされていて、先頭打者のエバン・ロンゴリアは、ケンリー・ジャンセンに仕留められた。けれども、次のブランドン・ベルトがホームランを打ち、試合はそのまま延長戦に入った。

 10回表、ジャイアンツはパスボールにより、1点を取られた。タイブレイクのオートマティック・ランナーに、二塁から生還された。その裏は、試合終了まで1アウトの2死三塁から、マウリシオ・デュボンの三塁内野安打により、スコアをタイに戻した。

 11回表、イニングまたぎのタイラー・ロジャースは、最初の2人をアウトにし、3人目のジャスティン・ターナーも討ち取った。だが、これがタイムリー・ヒットになった。打球は一塁側へ力なく転がり、捕球したロジャースが倒れ込むようなダイブでターナーにグラブを差し出したが、ターナーはそれを躱し、一塁に到達した。

 そして、11回裏。9回裏と10回裏に続き、先頭打者は凡退したが、ロンドリアロンゴリアのヒットで、またも同点に。そこからは前の2イニングと違い、2死からドノバン・ソラーノがホームランを打った。

 スタッツ・バイ・スタッツのツイートによると、モダン・ベースボール(1900年以降)において、9回、10回、11回にリードされながら勝ったのは、ジャイアンツが2チーム目。それまでは、1998年7月24日のフィラデルフィア・フィリーズ(対フロリダ・マーリンズ)だけだったという。

筆者作成
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 もっとも、22年前の試合は、3度ではなく4度、同点に追いついた。これは、ダブルヘッダーの2試合目。1試合目も、フィリーズは9回裏に1点を挙げて同点とし、12回裏にサヨナラ勝ちを収めた。また、今回の試合には、得点が入りやすい――そのために考案された――タイブレイクが大きく影響している。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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