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24時間経たずに「引退撤回」の投手がマウンドへ戻る日は…

宇根夏樹ベースボール・ライター
ドミンゴ・ハーマン(ニューヨーク・ヤンキース)Aug 31, 2019(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 7月17日、ドミンゴ・ハーマン(ニューヨーク・ヤンキース)は引退を宣言した。インスタグラムに「ベースボールを辞めます。皆さん、ありがとう」と綴った。そして、翌日にそれを撤回。「人騒がせな前夜の投稿」を謝罪し、引退宣言はインスタグラムから削除した。ESPNのジェフ・パッサンによると、約22時間後のことだという。

 昨シーズン、ハーマンは故障者の穴を埋め、143.0イニングを投げて、防御率4.03を記録した。奪三振率9.63と与四球率2.45は、ア・リーグで140イニング以上の39人中、12位と14位に位置した。年齢は、来月8日の誕生日が来ても28歳だ。引退には早すぎる。

 ただ、ハーマンは恋人に暴力を振るい、今年1月に81試合の出場停止を科された。DVが発覚した9月中旬から制限リストに入っていたので、処分はそこまで遡って適用されるが、あと63試合が残っている。

 予定どおり、3月26日にシーズンが始まり、雨天順延もなければ、6月5日に復帰できるはずだった。けれども、今シーズンは60試合。ヤンキースがそのすべてを終えても、ハーマンの処分は終わっていない。あと3試合だ。

 ヤンキースが今秋のポストシーズンへ進めば、ハーマンがロースターに加わる可能性は低いものの、その4試合目から出場可能となる。また、ヤンキースがポストシーズン進出を逃しても、ハーマンの出場停止は来シーズンの3試合目まで続くわけではない。開幕延期の特例措置として、出場停止は2021年には持ち越されないことになっている。これは、シーズンの試合数が確定する前に決まったことだ。来シーズンの開幕から、ハーマンはマウンドに上がることができる。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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