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出場停止中の選手に、開幕延期はどう影響する!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
ドミンゴ・ハーマン(ニューヨーク・ヤンキース)Jul 28, 2019(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 ドミンゴ・ハーマン(ニューヨーク・ヤンキース)の出場停止は、あと63試合が残っている。ハーマンは恋人に暴力を振るい、年明け早々に81試合の出場停止を科された。DVが発覚した9月中旬から制限リストに入っていたため、処分はそこまで遡って適用され、18試合が減った(ヤンキースが18試合を行った)。予定どおり、3月26日にシーズンが始まり、雨天順延もなければ、ハーマンは6月5日――ヤンキースの64試合目――に復帰できるはずだった。

 今シーズンが63試合に短縮された場合、ハーマンの復帰は来シーズンとなる。64試合なら、出場できるのはシーズン最後の1試合だ。試合数がもっと多くても、これは同じ。シーズンが126試合だと、ハーマンの出場停止と出場可能は半分ずつ。126-63=63だ。

 ただ、ハーマンの出場停止は、2021年には持ち越されない。今シーズンが62試合の場合、出場停止の残り1試合は「消滅」する。アーロン・ブーン監督が誰を選ぶかは別の話だが、ハーマンは来シーズンの開幕投手を務めることもできる。もし、今シーズンの試合がまったく行われなくても、ハーマンの出場停止処分は解ける。これは、今回の開幕延期に伴う措置の一つだ。

 選手以外についても、同じことが当てはまるようだ。

 ヒューストン・アストロズのジェフ・ルーノーGMとA.J.ヒンチ監督は、2017~18年にチームぐるみで行っていたサイン盗みにより、コミッショナーから2020年の停職処分を科された(アストロズのオーナーが2人を解雇したのは、その直後)。ESPNのバスター・オルニーによると、今シーズンの試合がまったく行われなくても、ルーノーとヒンチの停職処分は解けるという。彼らを雇う球団があるかどうかは、こちらも別の話だが、ないとは言い切れない。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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