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MLBの「本塁打王」はNPBでもホームランを量産したのか

宇根夏樹ベースボール・ライター
ラリー・ドビーの銅像/プログレッシブ・フィールド Apr 5, 2016(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 NPBにおいて、外国人選手が本塁打王を獲得することは、そう珍しくない。2009年以降の11シーズン中、両リーグのタイトル・ホルダーが日本人選手だったのは、2015年だけだ。この年のセ・リーグは、山田哲人(東京ヤクルトスワローズ)の38本が最多。パ・リーグは、中村剛也(埼玉西武ライオンズ)の37本が最も多かった。

 ただ、MLBで本塁打王を獲得した選手が、NPBでも同じタイトルを手にしたことは、これまでに一度もない。それどころか、シーズン30本以上も皆無だ。

 セシル・フィルダーは順序が逆。1989年に阪神タイガースで38本のホームランを打ち――タイトルはヤクルトスワローズのラリー・パリッシュ(42本)が獲得――その翌年と翌々年にMLBで本塁打王となった。デトロイト・タイガースで51本と44本。1990年はア・リーグ2位のマーク・マグワイアに12本差をつけ、ナ・リーグ最多のライン・サンドバーグと比べても11本多かった。1991年はホゼ・カンセコとタイトルを分け合ったが、こちらも両リーグ最多だった。

 MLBで本塁打王を獲得後、NPBでプレーした6人のうち、3人は10本以下に終わっている。フランク・ハワード(0本)は開幕戦に出場しただけ。ケビン・ミッチェル(8本)も37試合の出場にとどまり、2人ともシーズン途中にいなくなった。また、ラリー・ドビー(10本)の場合、メジャーリーグのみならず、マイナーリーグでプレーしたのも、1959年が最後。NPBの試合に出場するまでには、2シーズンのブランクがあった。

筆者作成
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 とはいえ、もう半数の3人は、NPBでシーズン25本前後のホームランを打っている。量産したとは言い難いが、ベン・オグリビーアンドルー・ジョーンズの2人は、30代後半の年齢からすると、及第点の本数ではないだろうか。オグリビーは、NPBでプレーする直前の4シーズンとも、15本塁打に届かなかった。アンドルーも、5シーズン続けて20本未満だった。

 また、ジェシー・バーフィールドは、MLBでプレーしていた当時から、パワー・ヒッターではなかった。1981~92年の12シーズン中、30本塁打以上は、タイトルを獲得した1986年(40本)しかない。それに対し、他の5人はいずれも、シーズン30本以上を少なくとも2度記録している。ちなみに、1993年に読売ジャイアンツでプレーしたバーフィールドは、13.2打数に1本のペースでホームランを打った。わずかながら、40本塁打の1986年(14.7打数/本)を上回った。

 なお、日本でプレーしたMLBの本塁打王は、彼らの他にもいる。2004年に43本塁打でタイトルを獲得した、マニー・ラミレスだ。3年前、マニーは四国アイランドリーグplusの高知ファイティングドッグスで23試合に出場。3本のホームランを打った(打率は.413)。その後はプレーしていないようだが、引退したのかどうかはわからない。今年2月には、ガゼッタ・ディ・パルマが、イタリアン・ベースボール・リーグのパルマ・ベースボール・クラブと交渉中、と報じた。現在、マニーは47歳だ。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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