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投手の契約最高額を1日で塗り替え、コールが9年3億2400万ドルでヤンキースへ

宇根夏樹ベースボール・ライター
ゲリット・コール Oct 10, 2019(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 2日続けて、投手史上最高の契約が生まれた。スティーブン・ストラスバーグが7年2億4500万ドルでワシントン・ナショナルズと再契約を交わした翌日、ゲリット・コールはニューヨーク・ヤンキースから9年3億2400万ドルの契約を得た。後者の正式発表はまだだが、どうやら間違いなさそうだ。MLBネットワークのジョン・ヘイマンやESPNのジェフ・パッサンが報じている。

 2人とも、契約が終わる時には38歳となっている。それぞれの年平均額は、3500万ドルと3600万ドルだ。こちらも、ストラスバーグの投手史上最高は1日で終わった。

 ヤンキースは、最初の提示から上乗せしたようだ。数日前、ニューヨーク・タイムズのボブ・クラピッシュはこうツイートしていた。「ヤンキースはゲリット・コールに対し、グレインキーの年平均3440万ドルを上回る、7年2億4500万ドルの契約を提示したと聞いた。あとは、ドジャースかエンジェルスが8~9年あるいは10年契約を申し出るかどうかだ」この情報が正しければ、年数も総額も、ストラスバーグが得たのと同じだったということだ。そこから、年数は2年長くなり、総額は7900万ドル増えている。

 そうまでしてヤンキースがコールを手に入れたのは、栄光から遠ざかっていることが大きな理由だと思われる。

 ヤンキースが最後にワールドシリーズで優勝したのは、松井秀喜がシリーズMVPを受賞した2009年だ。ここ10年間のポストシーズン進出は7度を数えるが、ワールドシリーズまで勝ち進んだことは一度もない。1世紀以上もワールドチャンピオンから遠ざかっていたシカゴ・カブスと比べると、笑ってしまうほど短いとはいえ、ヤンキースにとってこのブランクは長い。

 ヤンキースは、1923年に初めてワールドチャンピオンとなった。以来、10年以上のブランクが空いたのは、1963~76年(14年間)と1979~95年(17年間/ストライキによってポストシーズンが開催されなかった1994年を含む)に、現在継続中の3度しかない。ワールドシリーズから10年以上遠ざかるのも、1965~75年(11年間)と1982~95年(14年間)に続く3度目だ。

 ちなみに、今秋のリーグ・チャンピオンシップ・シリーズで、ヤンキースはヒューストン・アストロズに敗れた。シリーズ第3戦に登板したコールは、7イニングを投げ、ヤンキースにホームを踏ませなかった。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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