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「2010年代最高の投手」はシャーザー? カーショウ? どちらもサイ・ヤング賞は3度

宇根夏樹ベースボール・ライター
クレイトン・カーショウ(ロサンゼルス・ドジャース)Jul 15, 2019(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 2010年代に、マックス・シャーザー(現ワシントン・ナショナルズ)は2452三振を奪って161勝を挙げ、クレイトン・カーショウ(ロサンゼルス・ドジャース)は防御率2.31を記録した。これらはいずれも、このディケイドの1位だ(防御率は1000イニング以上の89人中)。

 奪三振、勝利、防御率の3部門とイニングにおいて、すべてトップ10に入っているのは2人だけでなく、ジャスティン・バーランダー(現ヒューストン・アストロズ)、ザック・グレインキー(現アストロズ)、マディソン・バムガーナー(現FA)もそうだ。ただ、そこにK/BBを加えると、シャーザーとカーショウしか残らない。

 また、2人はサイ・ヤング賞を3度ずつ手にしている。2010年代に3度以上の受賞は、他にはいない。2度受賞は、コリー・クルーバー(クリーブランド・インディアンズ)、バーランダー、ジェイコブ・デグローム(ニューヨーク・メッツ)の3人だ。バーランダーとデグロームは、どちらも今年の受賞で2度となった。

 シャーザーとカーショウを比べると、奪三振、勝利、イニングはシャーザーが上回り、防御率とK/BBはカーショウが勝る。FIPも防御率と同じく、カーショウの方が低い。シャーザーの3.06は7位、カーショウの2.64は1位だ。こうしたことからすると、「2010年代最高の投手」はカーショウと言っていいような気もするが、躊躇わざるを得ないところがある。先月、「カーショウは「最もポストシーズンに弱い大投手」なのか」で書いたとおり、カーショウはポストシーズンで好投できていない。2010年代のポストシーズン防御率は、カーショウが4.28、シャーザーは3.38。カーショウはワールドシリーズ優勝がなく、シャーザーは今年初めて経験した。

筆者作成
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 なお、白星トップ10のうち3人は、黒星トップ10にもランクインしている。148勝92敗のジョン・レスター(現シカゴ・カブス)は、白星が5位で黒星は8位タイ。135勝109敗のリック・ポーセロ(現FA)は7位と1位、119勝92敗のバムガーナーは9位と8位タイに位置する。レスターは奪三振と与四球も、ともに10位以内。1868三振が7位、616四球は4位だ。レスター以外には、バーランダーが2位の2260三振を奪い、8位の568四球を与えている。コール・ハメルズ(現FA)は順位も近く、1872三振が5位、579四球は6位だ。

 2010年代の打者編はこちら。

「2010年代最高の打者」はトラウトで決まりだが、彼に次ぐ2番目は誰?

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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