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エンジェルスの新監督は、大谷翔平が登場する前に二刀流選手を生み出そうとしていた!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
ジョー・マッドン Apr 16, 2019(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 ロサンゼルス・エンジェルスの新監督探しは、すでに動き出している。10月7日、エンジェルスは前シカゴ・カブス監督のジョー・マッドンと面談を行った。

 9月29日、カブスはマッドン監督と新たな契約を結ばないことを発表し、その翌日、エンジェルスはブラッド・オースマス監督を解任した。マッドンは5年契約が満了。オースマスは3年契約の1年目を終えたところだった。

 エンジェルスの新監督候補はマッドン以外にもいて、エンジェルスの他にもマッドンに興味を示している球団はあるようだ。しかし、マッドンがエンジェルスの監督に就任する可能性は、極めて高い。

 マッドンは、タンパベイ・デビルレイズ/レイズ(2006~14年)とカブス(2015~19年)で采配を振る前に、エンジェルスで長い年月を過ごしてきた。マイナーリーガー、マイナーリーグ3クラスの監督、マイナーリーグの巡回打撃インストラクター、メジャーリーグのブルペン・コーチ、一塁コーチ、ベンチ・コーチ……。その合計は約30年に及び、シーズン終盤にエンジェルスの暫定監督を務めたこともある。

 それともう一つ、大谷翔平を擁するエンジェルスにとって、マッドンは最適な監督かもしれない。

 2年前のオフ、大谷のエンジェルス入団が決まる直前のことだ。マッドンは670ザ・スコア(シカゴのラジオ局)で、こんなエピソードを披露した。

 1992年のドラフトで、エンジェルスは2巡目全体46位の指名権を使い、デショーン・ウォーレンという高校生の左投手を指名した。その翌年か翌々年のことだと思われる。教育リーグのスプリング・トレーニングで全員が60ヤードを走ったところ、ウォーレンが最も速かった。それを見たマッドンは、投手だけでなくDHや外野手としても練習させたいと、当時のGMだったダン・オブライエンSr.に提案したものの、却下されたという。

 ウォーレンは1992年から1995年まで、エンジェルス傘下のマイナーリーグで投げた。その後は、1996年にミルウォーキー・ブレーブス傘下のマイナーリーグ、1998~99年に独立リーグで登板した。オブライエンSr.は1991~93年にエンジェルスでGMを務めた。

 大谷が生まれたのは1994年7月だ。マッドンはその前に、二刀流選手を生み出そうとしていた。

 来シーズン、大谷は二刀流選手として再びプレーする。おそらく、マッドン監督の下で。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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